研究課題
C/EBPαの細気管支領域の機能に関して慢性喫煙下においてプロテアーゼ活性を調節する事を動物実験で証明し報告した(Uemasu K. et al., American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology 2020)。気道上皮細胞特異的にC/EBPαをノックアウトしたマウスでは、慢性喫煙後の線毛上皮細胞の再生低下、気道上皮バリア機能低下、小気道の破壊など多岐にわたる機能障害が示された。小気道をレーザーにて採取し遺伝子網羅的解析を行い、抗プロテアーゼの欠損を認めた。半年間の抗プロテアーゼ気管内投与によりノックアウトマウスの表現型は改善された。C/EBPαは細胞特異的な役割があり、これまで肺胞上皮細胞、脂肪細胞、造血細胞、幹細胞などで研究されてきたが、慢性的な疾患病態モデルでの役割を初めて証明した。さらにヒト肺についても検討した。CTで診断される小葉中心性肺気腫病変の細気管支領域の病理標本においても抗プロテアーゼが低下しており、病態特異的な変化であったと報告した。また、肺気腫の多い患者群においてCEBPA mRNA発現の低下を認めたが、C/EBPα蛋白発現とその下流因子の発現は直接的に相関する事はなかった。これにより、C/EBPαが何らかの要因で機能していないことがヒトにおいても示唆された。C/EBPαの機能変容がもたらす表現型はノックアウトと同等であるという本研究の仮説を支持するものであり、小動物に限らずヒトにおいても検討を要する。
2: おおむね順調に進展している
先行研究と発展された知見を論文として報告し、今後の本研究の貴重な足場となった。
加齢性変化による転写様式の変容の解明に向けて、マウス実験、ヒト組織サンプルより遺伝子解析を進めていく。
使用計画に大きな変更はないが、標的の抗体を複数購入し解析する予定であり経費として必要である。
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Am J Respir Cell Mol Biol.
巻: NA ページ: NA
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32101459