研究課題/領域番号 |
18K08178
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西村 善博 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (20291453)
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研究分担者 |
山本 正嗣 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40542139)
小林 和幸 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (50403275)
永野 達也 神戸大学, 医学研究科, 助教 (80624684)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | PM0.1 / PM2.5 / PM10 |
研究実績の概要 |
粒径が0.1µm以下のナノ粒子(PM0.1)は肺胞まで到達し、その影響は全身へと波及することから、健康への影響が懸念されている。しかし、PM0.1が喘息の増悪や難治化に及ぼす影響は分かっておらず、本研究ではそれを明らかにする。 まず、粒子状物質の分級サンプリングが可能なナノサンプラーⅡ(Kanomax)を用い、2019年2月7日から2月12日の5日間、東京都新宿区において計640.5µgのPM0.1を回収した。次に、マウス喘息モデルの作成およびPM0.1の経鼻投与実験を行った。すなわち、OVA(卵白アルブミン)10µg/匹と水酸化アルミニウム1mg/匹をDay1とDay8に腹腔注射してOVAに感作させたマウスに、PM0.1 10µg/匹とOVA 200µg/匹をDay14,15,16に経鼻投与し、Day17に気管支肺胞洗浄液を採取した(PM0.1群)。OVA群、PBS群では、Day14,15,16にOVAのみ、ないしPBSのみを投与した。気道炎症の評価として気管支肺胞洗浄液の総細胞数、好酸球数の解析をしたところ、PM0.1群およびOVA群ではPBS群に比して有意な上昇を認めたが、PM0.1群とOVA群の間に差を認めなかった。また、上記のPM0.1群とOVA群に対して、Day14, 15, 16の経鼻投与1時間前にステロイド(デキサメタゾン20µg/匹)を腹腔注射する治療実験も行った。ステロイド投与により、PM0.1群、OVA群ともに総細胞数、好酸球数の減少を認めたが、ステロイドへの反応性は2群間で有意な差を認めなかった。 上記の結果、PM0.1と喘息の増悪や難治化には関係性がみられない可能性があるが、粒子径の違いにより気道炎症の程度に差が生じる可能性があり、引き続きPM2.5やPM10といった粒径のより大きな物質との比較検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
仮説に反して、PM0.1による生体への影響が観察されなかったため、令和元年度に予定していた実験3. 遺伝子発現のネットワーク解析が、実験の開始まで至らなかった。しかしながら、粒子径の違いにより気道炎症の程度に差が生じる可能性があり、引き続きPM2.5やPM10といった粒径のより大きな物質で同様の実験を行い、結果の比較検討を行う予定である。令和2年度には速やかに実験を開始し、遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、PM0.1と同時期にサンプリングを行ったPM2.5およびPM10を用いてマウス喘息モデルでの気道炎症の評価を行い、粒子径の差により気道炎症の程度に違いがあるかを検討する。粒子径の差により気道炎症の程度に変化がみられた場合、気管支/肺組織および血液における遺伝子発現を炎症・免疫パネルとmicroRNAパネルを用い包括的に測定し、有意な変化のみられる増悪に関与する候補遺伝子を抽出する。また、それにより得られた遺伝子発現レベルの変化をネットワーク解析し、大気汚染物質に関わる病態を推測する。最後に、上記で明らかにした病態をもとに効果が予測される治療法・予防法の有用性についてマウスモデルを用いて検討する。
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