研究実績の概要 |
2018年度に実施した研究実績に基づき、雄Fisher 344系ラットで作成したアミオダロン肺障害モデルを用いて以下の実験を行った。 1)肺胞 II型上皮細胞(II型細胞)の単離、培養:開胸・気管カニューレ挿管後に肺を摘出し、ブタ膵エラスターゼを注入し、肺組織を細切後、イオパミドール密度勾配遠心を行った。低比重・高比重境界層に分離されたⅡ型細胞を回収し、単離Ⅱ型細胞をアガロースゲル中に包埋し、電顕で検鏡した。細胞小器官の観察と面積計測ソフトを使用してⅡ型細胞の細胞質と層状封入体の断面積を計測した。アミオダロン投与でII型細胞および層状封入体の大型化が観察された。 2)サーファクタントアポ蛋白及びリン脂質合成酵素群の遺伝子発現解析:単離Ⅱ型細胞よりtotal RNAを抽出した。各サンプルのtotal RNAからcDNAを作成し、Phosphate cytidylyltransferase1A(PCYT1A)(de novo経路合成酵素)遺伝子、lysophosphatidylcholine acyltransferase 1(LPCAT1)(リモデリング経路)遺伝子、SP-A, B, C, D遺伝子各々のプローブとプライマーを用い、Taqman法によりリアルタイムPCR法によるmRNAレベル発現解析を行ったところ、サーファクタントプロテイン-A, -B, -C,-Dは差がみられなかったが、PCYT1A, LPCAT1は発現が亢進していた。 3)単離II型細胞におけるホスファチジルコリン合成能の計測: 単離Ⅱ型細胞の培養液中に[3H]塩化コリンを添加し培養した後、細胞から脂質成分を抽出し、[3H]放射性活性を液体シンチレーションにて測定し、単位細胞蛋白当たりのホスファチジルコリンの合成能を算出したところ、アミオダロン投与で亢進していた。
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