研究課題/領域番号 |
18K08192
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
丸山 淳子 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (50263017)
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研究分担者 |
丸山 一男 三重大学, 医学系研究科, 教授 (20181828)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺線維化 / ブレオマイシン |
研究実績の概要 |
肺静脈・肺細静脈病変の解析のため、ブレオマイシン誘発性肺線維症/肺高血圧ラットモデルの作成を前年度に引き続き以下のように行った。 <実験方法>予備実験として、ペントバルビタール腹腔内麻酔を行なったラットに、喉頭鏡とマウス用経口ゾンデを用いて、仰臥位でエバンスブルーの気管内投与を行った。脱血後開胸して薬剤の分布を確認した。手技が安定したところで以下の実験を行なった。8週齢のオスSDラットを生理食塩水投与のコントロール( C )群とブレオマイシン投与( BL )群に分けた。ラットをペントバルビタールで腹腔内麻酔後、予備実験と同様に喉頭鏡とマウス用経口ゾンデを用いて、ラットを仰臥位のまま垂直にした姿勢で、気管内投与を行った。投与後28日後に心臓カテーテル、圧測定を行った。脱血により安楽死させたのち、肺循環をPBSにて還流し、肺静脈同定の目的で左心室カテーテルより逆行性にバリウムゼラチンを注入して心肺一塊で摘出した。得られた肺組織標本を用いてHE染色ならびにマッソン・トリクローム( MT )染色による肺の組織病変の確認、右室肥大の評価により肺線維症/肺高血圧症の程度を評価し、肺血管同定の評価を行った。 <結果と考察>エバンスブルーは、いったん気道に入った薬剤が胃に逆流するもの、片肺に入るもの、肺門部に限局するものなど、個体により薬剤分布にばらつきがみられた。今回、気管穿刺と比較して低侵襲で比較的安全なマウス用経口ゾンデを用いて薬剤投与を試みたが、間質の線維化、肺胞の虚脱、肺高血圧、右室肥大などの明らかな所見はみとめられなかった。一方、以上の手技を用いた肺組織における肺静脈の同定は可能であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
気管穿刺によるブレオマイシン直接投与と比較してより低侵襲の喉頭展開による気管内投与によるモデル作成を試みたが、安定したモデル作成に至っていないことが原因で当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
気管穿刺によるブレオマイシン投与では侵襲が大きく、全身状態に大きく影響したと推測された。また肺線維症になるラット数は限られており、個体によりばらつきがみられ、重症で肺高血圧になるか、正常かのどちらかであった。 この結果をふまえ、今回、低侵襲で全身状態に影響の少ない気管内投与によるモデル作成を試みたが、手技の確立には至らなかった。原因としては、小動物の気管内投与の手技が困難なこと、視野に限りがあり薬剤投与が直接確認できないことなどがあげられる。今回、安価で比較的安全なマウス用経口ゾンデを用いて薬剤投与を試みたが、さらに投与方法、使用薬剤、投与濃度を変えて試行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
低侵襲の喉頭展開によるマウス用経口ゾンデを用いた気管内投与でのモデル作成を試みたが、安定したモデル作成に至っておらず、実験の進捗が遅れている。今後、投与方法、使用薬剤、投与濃度を変えてさらに試行し、病態モデルの作成を続行する。
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