研究課題
<実験方法>ブレオマイシン(BL) 投与による肺高血圧ラットモデルの作成を以下の様に行った。 8週令SDオスを用いてペントバルビタール腹腔内投与により麻酔し、仰臥位に固定し自発呼吸下に喉頭鏡により喉頭展開し、ラット気管内投与用スプレーゾンデを用いてBL 水溶液を投与した。投与回数は2日毎、計3回とした。コントロールにも同様の方法で生理食塩水を投与し、両者とも大気下で飼育した。初回投与3週間後に再びペントバルビタール腹腔内投与により麻酔し自発呼吸下で心カテにより循環動態を評価した。また心肺採取を行い摘出心より右室肥大の評価を、 組織固定を行なった摘出肺のマッソントリクローム(MT)染色およびEVG染色により組織変化および肺血管病変の評価をこころみた。<結果と考察>スプレーゾンデを用いてブレオマイシン投与回数を増やしてモデル作成を試みた結果、多くの個体によってBL投与群において肺胞構造の消失を伴う線維化病変が認められた。肺高血圧・右室肥大をきたす個体は認められたが、それらの程度は個体によりばらつきがあった。ラット気管内投与の手技が困難なことから、個体により薬剤投与にバラツキが見られたか、薬剤に対する個体の感受性が違うことが考えられるが、これまで行ってきた皮下からの気管直接穿刺、浸透圧ポンプを用いた方法、マウス経口ゾンデによる気管内投与と比較するとおおむね死亡率が低く、肺高血圧、右室肥大を伴う肺線維症モデルの作成が可能であった。
4: 遅れている
ブレオマイシンによる肺高血圧モデルの安定した作成方法を確立するのに時間がかかっている。より低侵襲で薬剤分布領域が広い方法でモデル作成を試みたが、安定したモデル作成に至っていないこ とが原因で当初の予定より遅れている。
気管内投与にスプレーゾンデを使用し、ブレオマイシンの投与回数を増やして、肺高血圧をともなった肺線維症モデルの作成が可能であった。今後は検体数を増やし、肺静脈を中心とした肺血管病変の解析を進める予定である。
モデル作成に時間がかかり、実験が予定通り進んでいないため。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Pulm Circ.
巻: 10 ページ: -
10.1177/2045894020919355.
Front Pediatr.
巻: 8 ページ: -
10.3389/fped.2020.00352.