20歳から50歳までの健常成人を3対象にマウスピース型の口腔内圧および呼吸抵抗を高くする器具を使用して、負荷をかけて、労作時呼吸困難を疑似的に経験してもらった。被験者は30名であった。その際に、呼吸困難は自己記載式のBorgスケールで評価した。コントロールとして呼吸抵抗の無いマウスピースを用いた。同時に疑似的呼吸困難を体感している間に機能的MRIを撮影した。非負荷時18例、負荷時22例において、呼吸困難時には、1)1次感覚野―前部帯状回―2次視覚野―前部島回、2)1次運動野―補足運動野、3)中側頭回後部―前頭眼窩部とのconnectivityが増加した。以上の結果より1)は感覚と感情関連野、2)は運動関連野、3)は感情制御野の活動が示唆された。今回、申請者は、定量化が困難とされる呼吸困難を機能的MRIを用いて可視化に成功したと考えている。また脳内ネットワークの結果は呼吸困難の治療に一助になると信じている。
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