研究課題
本研究ではMCT9分子標的創薬による新規尿酸降下薬の創製を目指し、(A)MCT9による尿酸輸送特性の更なる解析によるその構造活性相関の解明からの阻害化合物合成、(B)MCT9結合タンパク質同定と輸送制御機構の詳細、の2点の解析を目的とする。平成30年度は予定した通り(A)についての解析を実施した。(1)新規尿酸トランスポーターMCT9の尿酸輸送特性の更なる解析、および(2)MCT9阻害候補化合物スクリーニング系の確立を目指し、Chiba Chemical Libraryの化合物を入手したのに加え、卵母細胞入手のためのアフリカツメガエル飼育を開始し、かつ定法に従いほ乳類培養細胞HEK293に、Lipofection法を用いてMCT9遺伝子導入を行った結果、MCT9安定発現HEK293細胞の樹立に成功した。またMCT9特異的抗体の作成およびMCT9の構造解析を実施するための基盤となる(3)MCT9タンパク質の大量発現および精製に関し、昆虫細胞および哺乳類細胞発現用plasmidへのMCT9全長配列の導入に成功し、哺乳類細胞発現用plasmidに組み込まれたMCT9は、同細胞にて細胞膜上にタンパク質を発現することが共焦点レーザー顕微鏡を用いた発現解析により確認された。
2: おおむね順調に進展している
当初に予定した3項目である(1)新規尿酸トランスポーターMCT9の尿酸輸送特性の更なる解析、(2)MCT9阻害候補化合物スクリーニング系の確立、および(3)MCT9タンパク質の大量発現および精製、のいずれも、次年度に実施するための基盤が出来上がってきており、足並みが揃っていると言えるため。
次年度令和元年度はまず前年に実施した(A)についての内容を継続してゆく。(1) 新規尿酸トランスポーターMCT9の尿酸輸送特性の更なる解析:アフリカツメガエル卵母細胞発現系、およびMCT9安定発現HEK293細胞を用いてMCT9による尿酸輸送特性のさらに詳細な解析を実施する。(2) MCT9阻害候補化合物スクリーニング:MCT9安定発現HEK293細胞を用いたChiba Chemical Library化合物のスクリーニングを実施する。(3) MCT9タンパク質の大量発現および精製:MCT9タンパク質の大量発現を実施し、得られたタンパク質の精製を行う。続いて(B)MCT9結合タンパク質同定と輸送制御機構の詳細についての検討を並行して開始する。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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