研究課題/領域番号 |
18K08209
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
濱野 高行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 主任教授 (50403077)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 腎容積 |
研究実績の概要 |
うっ血に伴う腎サイズの評価を腎エコーですると、検者とエコーのビームの入れ方によって再現性がないことから、令和2年度はCTで評価し、専用のソフトで腎容積を評価することにした。この評価法で急性心不全やネフローゼ症候群の改善前後で腎容積を正確に算出しており、症例を蓄積中である。 当初は急性心不全とネフローゼで別個に研究をしていたが、心不全を合併するネフローゼにおいては、利尿剤とレニンアンギオテンシンアルドステロン(RAAS)系阻害薬のみで、蛋白尿が陰性化する症例も経験し、2021年の日本内科学会で報告し受賞した。具体的には利尿薬のみの使用で体重が10㎏減少して、主に短径が小さくなることで両腎容積は18%の低下した。この症例は外来に移行すると体重が増え蛋白尿が陽転化したことから、うっ血腎が病態に関わっていることは明白である。さらにRAAS系の評価として用いたSUSPPUPがうっ血の解除で低下し、腎うっ血は著しいRAASの亢進を来すという動物実験の結果がヒトにおいても成立することを確認した。 またネフローゼ単独症例においても、45日間の利尿薬とステロイド治療によって、腎容積が45%低下し、eGFRが18から62mL/min/1,73m2まで改善する膜性腎症例も経験した。腎生検を施行した本症例は、病理上うっ血が髄質に強く発現していることを確認している。 さらに急性心不全でも腎容積が30%ほど低下する症例を経験し、そのような症例では、ループ利尿薬を使って6Lほど除水をしてもeGFRは不変であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究者が大阪大学から名古屋市立大学に異動し、再度倫理委員会に研究を通したうえで、患者を登録する必要があるため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、後ろ向きだけでなく前向きコホートを作っていく予定である。Na喪失性利尿薬は腎機能を悪化せしめるだけという報告が増えてきたが、腎うっ血を有する症例では、積極的除水がむしろ腎機能を改善し、蛋白尿を著明に減らすというエビデンスを構築していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主任研究者が異なる大学に異動したため、再度倫理委員会に通して患者の登録を開始する必要があったため、研究予定が遅れている。 患者血清や血漿のレニン活性やアルドステロン値を計測する予定であり、そのための保存冷凍庫の購入などに研究費を充てる。
|