うっ血腎が存在する心不全だけでなく、ネフローゼにおいてもADH系が亢進していることを見出した。ネフローゼで腎うっ血のある症例(治療後に腎容積で19%以上低下)では、ない症例に比して、尿Na/K比が低くSUSPPAPが有意に高いことから、うっ血腎ではRAAS系の亢進を介し尿Na排泄障害を来すことを見出した。利尿薬とRAAS系阻害薬のみで重篤なネフローゼ症例の蛋白尿が陰性化し、腎容積が著明に低下した症例を日本内科学会で報告した。RAAS系の亢進は近位尿細管におけるSGLT2の発現を増やし、これによってNa貯留がおこるので病態をさらに悪化させる。ゆえに早期からのSGLT2阻害薬投与が重要であろう。
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