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2018 年度 実施状況報告書

糖尿病性腎症におけるポドサイト障害:MR蛋白修飾の制御による新たな治療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18K08214
研究機関大分大学

研究代表者

柴田 洋孝  大分大学, 医学部, 教授 (20245484)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードミネラルコルチコイド受容体 / 慢性腎臓病 / インドキシル硫酸
研究実績の概要

初年度は動物実験室の工事開始の予定があり、まず腎線維芽細胞を用いたin vitroの研究を主に行った。糖尿病性腎症は慢性腎臓病(CKD)で最も多い原因疾患であり、腎機能低下に伴い体内に様々な尿毒素物質が蓄積することが知られている。その中でもインドキシル硫酸(IS)とミネラルコルチコイド受容体(MR)は両者とも腎臓において酸化ストレスや間質線維化を惹起し腎障害の進展に寄与することが報告されているが、CKDにおけるIS増加とMR活性化の関連性については不明である。腎線維芽細胞を用いてISとMR活性化について検討した。
(方法)アフリカミドリザル腎線維芽細胞(COS-7)にMRプロモータープラスミドをトランスフェクションし、アルドステロン(Ald)を添加もしくは添加しない条件下でISを負荷し、MR活性をルシフェラーゼアッセイで評価した。また、スピロノラクトン、抗酸化薬(αリポ酸)共添加でMR活性が抑制されるか検討した。さらにhMRを発現させたCOS-7にISおよびAldを負荷し、ウェスタンブロットでMR発現について評価した。
(結果)COS-7細胞において、ISはアルドステロンの存在、非存在化のどちらにおいてもMR活性化を惹起した。これらの作用はスピロノラクトンと同様にαリポ酸でも抑制された。また、IS投与により、MR蛋白発現レベルが増加し、αリポ酸投与により抑制された。COS-7においてISはMR活性化をきたし、そのメカニズムの一つとして酸化ストレスを介したMR蛋白発現レベルの増加が関与することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本学の実験動物センターの再整備に伴い、in vivoの実験の進行が遅れる状況がしばらく続く予定である。飼育可能なラットの数に制限がある中で、パイロット実験を行ってできるかぎり効率的にin vivo実験も遂行できるように努めていきたい。

今後の研究の推進方策

初年度において、CKDに伴いミネラルコルチコイド受容体の活性化が惹起されるメカニズムとして、尿毒素物質のインドキシル硫酸の蓄積が酸化ストレスを介してミネラルコルチコイド受容体蛋白レベルを増加させて、MR活性化を腎線維芽細胞できたすことを見いだすことができた。これらの結果は、申請者らが報告している「MR関連高血圧」がCKDの腎組織においても当てはまることを初めて明らかにできたもので、本研究内容の遂行が現実的に可能であることを支持する結果が得られている。今年度以降にさらにin vitroのシステムにおいて、MR蛋白レベルの増加が、MR遺伝子転写レベルか、あるいは蛋白分解の抑制かを次に検討し、MRの翻訳後蛋白就職として、すでに申請者らが報告しているPKCbetaを介するリン酸化経路、EGFR-tyrosine kinase-ERKを介するリン酸化経路、O-GlcNAc修飾を介する糖鎖修飾などの関与について各種拮抗薬やsiRNAを用いて、詳細な分子機構の解明とそれらをもとにin vivoの実験にて検証することを目指す予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度に動物実験が実験動物センター改築の関係でほとんど行うことができずに、主に培養細胞を用いたシステム確立とin vitroの実験を中心に行ったため。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Intestinal mineralocorticoid receptor contributes to epithelial sodium channel-mediated intestinal sodium absorption and blood pressure2018

    • 著者名/発表者名
      Nakamura T, Kurihara I, Kobayashi S, Yokota K, Murai-Takeda A, Mitsuishi Y, Morisaki M, Kohara N, Oshima Y, Minami Y, Shibata H, Itoh H
    • 雑誌名

      J Am Heart Assoc

      巻: 7 ページ: pii:e008259

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bioelectrical impedance analysis results for estimating body composition are associated with glucose metabolism following laparoscopic sleeve gastrectomy in obese Japanese patients2018

    • 著者名/発表者名
      Ozeki Y, masaki T, Yoshida Y, Okamoto M, Anai M, Gotoh K, Endo Y, Ohta M, Inomata M, Shibata H
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 10 ページ: pii:E1456

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Obesity as a key factor underlying idiopathic hyperaldosteronism2018

    • 著者名/発表者名
      Ohno Y, Sone M, Inagaki N, Yamasaki T, Ogawa O, Takeda Y, Kurihara I, Umakoshi H, Ichijo T, Katabami T, Wada N, Ogawa Y, Yoshimoto T, Kawashima J, Watanabe M, Matsuda Y, Kobayashi H, Shibata H, Miyauchi S, Kamemura K, Fukuoka T, Yamamoto K, Otsuki M, Suzuki T, Naruse M, JPAS Study Group
    • 雑誌名

      J Clin Endocrinol Metab

      巻: 103 ページ: 4456-4464

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical characteristics and postoperative outcomes of primary aldosteronism in teh elderly2018

    • 著者名/発表者名
      Takeda M, Shibata H(25番目), JPAS Study Group
    • 雑誌名

      J Clin Endocrinol Metab

      巻: 103 ページ: 3620-3629

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epidermal growth factor receptor/extracellular signal-regulated kinase pathway enhances mineralocorticoid receptor transcriptional activity through protein stabilization2018

    • 著者名/発表者名
      Mitsuishi Y, Shibata H, Kurihara I, Kobayashi S, Yokota K, Murai-Takeda A, Hayashi T, Jo R, Nakamura T, Morisaki M, Itoh H
    • 雑誌名

      Mol Cell Endocrinol

      巻: 473 ページ: 89-99

    • 査読あり
  • [図書] Textbook of Nephro-Endocrinology2019

    • 著者名/発表者名
      Gotoh K, Shibata H
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      Academic Press
  • [図書] 内分泌代謝科専門医ガイドブック2018

    • 著者名/発表者名
      柴田洋孝
    • 総ページ数
      792
    • 出版者
      診断と治療社

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公開日: 2019-12-27  

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