研究課題
申請者らは、慢性腎臓病(CKD)や糖尿病では、多様な機序によりミネラルコルチコイド受容体(MR)が活性化されて治療抵抗性高血圧や臓器障害をきたす「MR関連高血圧および臓器障害」という新たな病態を提唱している。本研究では、CKDで血中に蓄積する尿毒素インドキシル硫酸(IS)がMR活性化をきたすことによりポドサイト障害を惹起するという作業仮説を検証した。1)in vitroの検討:腎線維芽細胞COS-7細胞にMR発現プラスミド、MR応答性Luciferaseレポータープラスミドを共発現し、aldosteroneによるMR活性化を検討し、ISの添加(250~500μM)によりaldosterone依存性MR活性化が増強された。さらに、抗酸化薬(10-3Mαリポ酸)を添加するとISによるMR活性化が抑制された。次に、Western blottingによりMR蛋白レベルを検討すると、MR転写活性と並行して、IS添加時にMR蛋白レベルが増加し、αリポ酸添加により減少を認めた。以上の結果から、ISによる酸化ストレスがMR蛋白レベルを増加させることによりMR転写活性を増強したことが示唆された。2)in vivoの検討:9週齢のCKDモデルラット(6分の5腎摘)を作成し、sham群、CKD群、CKD+AST-120(IS吸着薬)投与群に分け、4週後(13週齢)における血液、尿、腎組織を評価した。CKD群でIS、尿蛋白が有意に増加し、CKD+AST-120群でISは有意に改善した。腎組織のWestern blotにてMR標的遺伝子SGK-1の発現はCKD群で増加し、CKD+AST-120にて有意に改善した。以上より、CKDの病態で蓄積する尿毒素ISは酸化ストレスとしてMRの蛋白レベルの増加を介してMR活性化を惹起することによりポドサイト障害をきたすことが示唆された。
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http://www.med.oita-u.ac.jp/naika1/hiro-eye/index.html