研究課題
本研究では、尿中に含まれる代謝物をメタボローム解析することにより、侵襲性の高い腎生検を行わずにネフローゼ症候群の鑑別ができる代謝物パネルの作成を実施した。まず初めに、先行研究によって得られた各種腎疾患を判別するマーカー候補の内、ループス腎炎において高値を示す未知代謝物について、分取LC-MSを用いた代謝物の回収を試みた。分取カラムの選定や分取条件の最適化を行い、尿中から未知ピークを精製することに成功した。精製した未知代謝物は、NMRおよびMSを用いた構造決定を行い、最終的に同定まで完了した(特許出願済)。各マーカー候補代謝物に関しては、独立したデータセットを用いたバリデーション試験を実施し、異なる検体や測定装置においても同様の結果が得られることを確認した。ループス腎炎で高値を示したマーカー候補代謝物については、疾患に関する各種臨床情報との関連性を調査し、BMIと体重には弱い相関が見られた。さらに、病理型との関連も検討したが、顕著な関連は見られなかった。本マーカーは濃度が低い方が完全寛解が遅く、腎機能悪化も多い傾向が見られ、濃度の高い方が予後が良い傾向が認められた。最終年度である本年度は、分担研究施設にてループス腎炎のモデルマウスを作成し、その尿中のマーカー濃度も測定した。その結果、コントロールマウスと比べて有意に上昇していることが分かり、モデルマウスを用いたマーカー代謝物の発症機構の解明への道筋がついた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
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