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2018 年度 実施状況報告書

糖尿病性腎症におけるmicroRNAによるRAGEシグナルをターゲットとする治療

研究課題

研究課題/領域番号 18K08220
研究機関順天堂大学

研究代表者

萩原 晋二  順天堂大学, 医学部, 准教授 (70445568)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード糖尿病性腎症 / RAGE / マイクロRNA / Diaph1
研究実績の概要

マウスの糖尿病性腎症モデルにおいて、終末糖化産物受容体(RAGE)を欠失させると、尿中アルブミンおよび糸球体硬化症が減少することが報告されている。マイクロRNA(miRNA)は、転写後に遺伝子発現を調節する小型非翻訳性RNAの一種であり、糖尿病性腎症(DN)の発症および進行において役割を果たすことも示されている。この研究の目的は、RAGEを欠失させる事により線維化促進性miRNAの発現をどのように変化させるかを解析し、メサンギウム細胞(MC)におけるこれらのmiRNAの役割を分析することである。
我々は、TGF-βの存在下または非存在下で、高グルコースの条件下でRAGEノックアウト(KO)MCにおける線維症に関連するmRNAおよびmiRNAの発現を分析した。
糖尿病性腎症と関連があることが知られているいくつかのmiRNAの発現の変化をPCRで定量した。これらの中で我々は、miR-214がRAGE KO細胞において70から100倍劇的に野生型MCよりも発現が上昇されていることを見出した。miR-214の過剰発現は、野生型MCにおいて線維化促進性遺伝子の発現を低下させた。一方、miR-214のノックダウンは線維性遺伝子の発現を増加させた。 miRNA 機能検証用 3'-UTRレポーターアッセイを用いて、RAGEおよびRhoAシグナル伝達の下流にあるDiaph1がmiRNA-214の標的となることを確認した。
以上の結果から、miR-214は、RAGE KO MCにおいて劇的に過剰発現され、そしてMCにおいてDiaph1を標的とすることによって少なくとも部分的に抗線維化作用を有すると考えられた。このことは、疑似miRNA-214を用いた糖尿病性腎症に対する新たな治療法の開発につながる可能性がある。この研究結果は2019年4月14日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画でも、初年度はRAGEノックアウトメサンギウム細胞を用いて、糖尿病性腎症の進展に関与するRAGEシグナルに関連するmiRNAを網羅的に解析し、その候補のmiRNAを探索することであった。当該年度において、この候補であるmiRNA-214を見出し、メサンギウム細胞を用いて機能評価を行い抗線維化作用がある事を確認した。またmiRNA-214の標的候補遺伝子であるDiaph1をデータベースから同定し特別なアッセイ系を用いて標的であることを確認した。これらの結果はすべてin vitroで行われており、当初の計画と一致している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果から同定したmiRNA-214の発現と糖尿病性腎症との関連性を動物モデルを用いて解析する。まず、8週齢のKKAyマウスとKKTaを自然経過で飼育し20週齢でマウスを屠殺し、腎組織、血液を採取し、同定したmiRNAと腎線維化・炎症に関連するmRNAとの関連を解析する。
次に、miRNAによる糖尿病性腎症の治療の効果を検討する。12週齢のKKAyマウスを疑似miRNA投与群, 抗miRNA投与群と非標的コントロール投与群に分け、各々の薬剤を尾静脈より定期的に静脈投与する。20週齢でマウスを屠殺し、腎組織、血液を採取し治療効果を解析する。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度に学会発表する予定であったが、miR-214以外にもmiR-199aの発現上昇も認めたため、両者のmiRで解析を進めた為、平成30年度には発表せずに未使用額が生じた。最終的にはmiR-214にフォーカスを絞り、平成31年度4月の国際腎臓学会で発表を行った。未使用額は平成31年度の学会発表の旅費の経費に充てる事とする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] THE EXPRESSION AND THE ROLE OF MICRORNA IN RAGE KNOCK OUT MOUSE MESANGIAL CELLS2019

    • 著者名/発表者名
      Shinji Hagiwara
    • 学会等名
      World Congress of Nephrology 2019
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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