糖尿病において最終糖化産物(AGE)は、AGE受容体を(RAGE)を介して炎症や線維化を促進し腎症進展に大きく関与している。我々はRAGEノックアウトという特殊な条件下において異常発現していたmicroRNA(miR)-214とmiR-199aに注目した。これまでの研究でIn vitroでmiR-214に抗線維化作用があることを示した。糖尿病惹起モデルマウス(db/db、KK、KKAy/TaJcl)を用いて15週齢におけるmiRNAの発現量を比較したところ、最も糖尿病が重症化するKKAyマウスにおいて上記のmiRNAが約2倍程度に上昇していた。更に、線維性調節を確認する上で早期に線維化を惹起させるUUO(片側尿管結紮術)を行ったところ、二つのmiRNAがコントロール群と比較して約5倍程度に上昇していることを示した。そのため、上記二つのmiRNAが腎線維化に関与していると考え、in vivoにおいて疑似miRNAの投与を試みたが、腎臓への導入に難渋したためにin vitroにおけるmiRNA-199aと線維化の関与についての研究を進めた。マウスメサンギウム細胞でmiR-199aの過剰発現と発現抑制を行い上記線維化マーカーの発現量を比較したところ、PAI-1でコントロールと比較し過剰発現で0.2倍、発現抑制で1.2倍の発現が認められた。また、TGF-betaの刺激により、miRNA-199aの発現は低下した。以上の結果よりmiR-199aがメサンギウム細胞では、抗線維化作用を有する事が示唆された。また、PAI-1がデータベース(TargetScan)においてmiRNA-199aのターゲット遺伝子であることが推定されるため、今後は3'UTRレポーターアッセイを用いて確認する。更に、miR-214/miR-199aによる腎線維化をターゲットとした糖尿病性腎臓病への有用性を検討する。
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