研究課題/領域番号 |
18K08227
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
星野 純一 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (70725861)
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研究分担者 |
森田 英利 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (70257294)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多発性嚢胞腎 / 多発性嚢胞肝 / 嚢胞感染症 / 細菌叢解析 |
研究実績の概要 |
本年度は、当初の目標に従い、まず研究の確実な実施のための体制づくりに注力した。 まず院内研究倫理委員会の申請へ本研究の申請を行い承認を得た。 つぎに難治性嚢胞感染を生じた患者の患者糞便、唾液、嚢胞液を適切に採取し、搬送するために必要な体制の確立と解析条件の設定を共同研究者と協議しつつ実施した。 院内研究倫理委員会の承認を得た後に、難治性嚢胞肝感染患者4名(平均年齢68.5±8.1歳、男性2名、女性2名、透析患者)に研究参加同意を得て、患者糞便、唾液、嚢胞液の採取を施行した。唾液の採取は問題がなかった。嚢胞液の採取に際してMRIを中心にした感染性嚢胞診断の精度をより確実にするために、ガリウムシンチグラフィーやPET-CTなどを併用するかどうかが今後の検討課題の一つとなった。また、糞便採取を嚢胞ドレナージ当日に施行出来ない場合があった。糞便採取が唾液・嚢胞液採取の前後日になった場合の取り扱いも次年度以降の協議事項となった。 現在は岡山大学に検体を送付し、これら採取した検体の細菌叢解析を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の目標に従い、まず難治性嚢胞感染を生じた患者の患者糞便、唾液、嚢胞液を適切に採取し、搬送するために必要な体制の確立と解析条件の設定に注力した。 まず院内研究倫理委員会の承認を取得した。次に岡山大学 森田研究室も頻回に連絡を取り合い、使用する機材や搬送条件の確認を経て、実際に難治性嚢胞肝感染患者4名(平均年齢68.5歳、男性2名、女性2名)の研究協力を得て患者糞便、唾液、嚢胞液の採取を行い、岡山大学森田研究室に検体を送付した。現在、細菌叢解析を実施している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
1. 検体の確保 現在も多数の難治性多発性嚢胞肝/嚢胞腎患者が入院加療を行っており、唾液・嚢胞液の確保は問題ないが、同時期の糞便採取が困難な場合がある。糞便採取日と唾液・嚢胞液日が異なった場合の研究結果への影響の有無は今後の検証課題の一つである。また、MRI,CTによる感染性嚢胞の診断の確実性向上を目的に、ガリウムシンチやPET-CTなどの他検査の併用も検討中である。
2. 細菌叢解析 臨床上および画像上、嚢胞感染が疑われる部位は一つではないことは多数経験する。感染源が複数疑われた場合に、限られた予算の中で、いくつの嚢胞液を採取して細菌叢解析を実施していくことが最も適当なのかは今後の検討課題である。また得られた細菌叢解析の結果をどのように解釈し、次の解析に繋げていくかも本年度以降の検討課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規研究事業であったため、2018年度は研究計画の院内委員会承認、研究実施体制の確立に多くの時間を割いたため、実際の解析業務は2019年度に実施する予定となった。 そのため予算と実使用金額の差額が生じたが、これらは精度の高い研究遂行のために必要な期間であるため、研究計画全体に及ぼす影響はないと考えられる。
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