研究実績の概要 |
ATCCよりラット由来腎臓線維芽細胞(NRK-49F細胞)を購入し培養条件の検討を行い至適条件を設定した。培養液はDMEM, 4.5g Glucose, with L-Gln and sodium pyruvate, Nacalai 08458-45, FBS 5%にNEAA(非必須アミノ酸)を添加して使用し、TGFβ1はPeprotech Recombinant Human TGF-β1を0.1%BSA/PBSで5μg/mLに調整し使用した。 TGFβ1刺激(5ng/mL, O/N)によりNRK-49F細胞の形態に変化が生じ、α平滑筋アクチン(αSMA)発現が有意に増加することを確認した。同条件でTGFβ1刺激の有無に分け、細胞膜表面ビオチン標識による細胞膜貫通タンパクの回収を行った。TGFβⅠ型受容体(TGFR1)の細胞膜分画はTGFβ1刺激後に有意に減少しており、TGFR1はTGFβ1刺激によりendocytosisを受けることが分かった。TGFR1 endocytosisが腎線維芽細胞の分化誘導に重要なステップである可能性を示唆していると考えられた。 また同刺激条件で細胞質タンパクと核タンパクの分離回収を行った。TGFβ1刺激によりリン酸化Smad2/3が核特異的に発現することを確認した。αSMAは細胞質で発現亢進するだけでなく、核で強く発現していることが分かった。核においてもTGFβ1刺激で有意に増加していた。αSMA monomerは核孔を通じ、細胞質と核を比較的自由に行き来しているものと考えられる。αSMA自体がTGFβ1による線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化誘導、分子発現調節に重要な機能を持つ可能性を示唆していると考えられた。
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