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2019 年度 実施状況報告書

IgA腎症の発症に関与する共生細菌の網羅的解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K08234
研究機関新潟大学

研究代表者

後藤 眞  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00463969)

研究分担者 成田 一衛  新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードIgA腎症 / 口蓋扁桃 / マイクロバイオーム / IgA-Seq
研究実績の概要

本研究では、IgA腎症患者の口蓋扁桃に存在する細菌叢と次世代シークエンサーを用いてゲノム解析を行ない、また宿主の免疫反応についても解析している。IgA腎症患者62例と、コントロールとして尿異常が認められない習慣性扁桃炎患者28例を対象とした。摘出口蓋扁桃の深部陰窩組織を採取し、ゲノムDNAおよびタンパク質を抽出した。扁桃組織の糖鎖不全IgA1は両群で有意な差は認められなかったが、IgA腎症患者の糖鎖不全IgA1は糸球体に沈着する糖鎖不全IgA1値と強く相関し、またメサンギウム細胞増多と関連した。また多変量分散分析により扁桃での糖鎖不全IgA1は細菌群集の相対存在比と関連が認められた。IgA産生誘導に関与するAPRILおよびBAFFはIgA腎症患者で有意に高値を示し粘膜免疫異常が示唆された。近年、炎症性腸疾患では、IgA分子が結合する細菌群集は腸粘膜での炎症を惹起し、疾患の病態生理に深く関与していることが示されている。扁桃組織を用いたIgA-Seq では、Bacteroidetes門の細菌群集にIgAがより多く結合し、その程度は習慣性扁桃炎患者よりもIgA腎症患者で有意に高いことが示された。Bacteroidetes門の細菌群集とIgA結合性について、血清IgAについても解析した。ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて高分子IgAを分離し、扁桃から分離培養したBacteroidetes門の細菌群集と反応させてFACSで解析した。IgA腎症患者では習慣性扁桃に比較し高分子IgAがBacteroidetes門細菌群に有意に多く結合し、その程度は糖鎖不全IgA1値と相関した。今後、扁桃におけるIgAとBacteroidetes門の細菌群集における結合様式について、IgA分子の可変領域のレパトア解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

摘出扁桃組織を用いて、メタ16S解析による疾患マーカーとの関連や、IgA-Seqを行い、IgA結合細菌の情報が得られた。また血清IgAと細菌の結合度をFACSで定量し、扁桃におけるIgA腎症の粘膜免疫異常を反映する結果が得られた。当初の予定通り研究が進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

今後は、扁桃メタゲノム解析を行い、細菌ゲノム構造の違いが存在するのか、IgA-Seqの結果と合わせて検討する。また扁桃IgAの可変領域についてレパトア解析を行い、細菌群との結合メカニズムの基盤をさらに解析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] IgA腎症患者の口蓋扁桃陰窩におけるIgA結合細菌群と糖鎖不全IgA1.2019

    • 著者名/発表者名
      山口浩毅、 後藤眞、 山本卓、 金子佳賢、 成田一衛.
    • 学会等名
      第62回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] 28.Aberrant Immune Response to Periodontopathic Microbiota in Patients with IgA Nephropathy.2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Yamaguchi, Shin Goto, Masafumi Tsuchida, Hirofumi Watanabe, Suguru Yamamoto, Yoshikatsu Kaneko, Ichiei Narita.
    • 学会等名
      ASN Kidney Week 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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