研究課題/領域番号 |
18K08235
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 弘恵 新潟大学, 保健管理・環境安全本部, 講師 (80705963)
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研究分担者 |
金子 佳賢 新潟大学, 医歯学系, 講師 (80444157)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ループス腎炎 |
研究実績の概要 |
SLEモデルマウスで自己抗体を自然産生するが抗P抗体は産生しないNZBxW/F1メスマウスと、正常コントロールとしてNZWメスマウス,C57BL/6メスマウス、BALB/cメスマウスにそれぞれ抗P抗体1mgを2週おきに計7回静注投与したモデルを作成し用いた。 抗Pモノクローナル抗体(9D5)投与したマウスでは、いずれの系統のマウスにおいても、血清尿素窒素およびシスタチンC濃度の上昇を認め、腎機能障害が誘導された。一方で、蛋白尿やアルブミン尿は、NZBxW/F1メスマウスのみで認められ、特に32週頃に悪化した。9D5を投与したNZBxW/F1メスマウスの腎から単離した糸球体では、IL-1β、CCL-2およびCCL-3の発現が増加していた。 病理組織学的には、いずれの系統のマウスにおいても、9D5投与で、PAS染色陽性物質による血管内腔の閉塞が顕著であった。αSMA陽性の活性型メサンギウム細胞が増加し、9D5はメサンギウム細胞と血管内皮細胞に沈着していた。またF4/80陽性の単球およびマクロファージも増加していた。 以上から抗Pモノクローナル抗体によりいずれの系統のマウスでも腎機能障害が出現し、その機序として、メサンギウム細胞と内皮細胞に9D5抗体が沈着することにより、メサンギウム細胞や単球、マクロファージが増加し、血管内腔の閉塞をきたすことが考えられた。一方で、蛋白尿についてはループスモデルマウスでのみ認められ、遺伝的背景の違いや、抗DNA抗体による複合的影響の可能性などが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に準じて研究を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、活性型Fcγ受容体を欠損したFc受容体γ鎖ノックアウトマウスおよび抑制型Fcγ受容体を欠損したFcγRIIBノックアウトマウスや、TNF-αやIL-6欠損マウスに抗P抗体を投与し、腎機能障害およびメサンギウム細胞の活性化の有無についての検討を進めている。またTNF抑制薬などの治療薬による治療効果についても検討を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗Pモノクローナル抗体産生クローンからの抗体作成、各種のノックアウトマウス購入を予定している。
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