• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

IgG4関連腎臓病への自然免疫の関わりの解明と新規治療ターゲットの探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K08236
研究機関金沢大学

研究代表者

伊藤 清亮  金沢大学, 附属病院, 医員 (10467110)

研究分担者 川野 充弘  金沢大学, 附属病院, 講師 (20361983)
山田 和徳  金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (90397224)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードIgG4関連疾患 / IgG4関連腎臓病 / 自然免疫 / 補体 / TLR
研究実績の概要

IgG4関連疾患(IgG4-RD)は、Th2優位の免疫反応を有する原因不明の全身性炎症疾患である。申請者らは、IgG4-RDの内部環境をTh1優位の免疫反応に変化させるTLR9を刺激することにより、炎症が軽快するのではと考え予備実験を開始したが、むしろそれぞれの臓器の炎症は増悪し、Th2優位の免疫反応とTh1の免疫反応との相乗効果が重要である可能性が示唆された。本研究では、TLRや補体を含めた自然免疫に注目しIgG4-RDの病態解明を行うことを目的とする。
本年度、T細胞活性化リンカー(LAT)の136番目のチロシンを変異したLAT Y136F変異マウスが、Th2優位の免疫反応を有する新規のIgG4関連疾患のモデル動物であることを報告した(PLoS One, 2018)。また、B細胞の生存シグナルに関与するAPRILがIgG4-RKDの病態に関わることを報告した(Nephrol Dial Transplant, 2018)。
次に補体のIgG4-RDの病態への関わりを解明するために、前述のIgG4-RDモデルマウスのLAT Y136F変異マウスを用いて解析を行った。
血清補体価の解析 LAT変異マウスと、WTの血清において血清補体(C3)に差があるか解析を行った。少数例の解析であるが、LATマウスのほうが補体が高い傾向にあった。その原因としては、LATマウスにおいてIL-6が高発現していることが報告されており(O'Brien et al., J Immunol, 2015)、炎症性サイトカインの影響を受けている可能性が考えられた。
腎臓組織の解析 LAT変異マウスと、WTの腎臓組織において、補体(C3)の沈着につきIFにて解析した。その結果LATマウス腎においてC3の沈着を認めた。しかしながら、WTマウスにおいてもC3沈着がみられ、条件設定の必要があると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①血清補体価の解析
LAT変異マウスと、WTマウスの血清において血清補体(C3)に差があるか解析を行った。少数例の解析であるが、LAT変異マウスのほうが補体が高い傾向にあった。その原因としては、LAT Y136F変異マウスにおいてIL-6が高発現していることが報告されており(O'Brien et al., J Immunol, 2015)、炎症性サイトカインの影響を受けている可能性が考えられた。

②腎臓組織の解析
LAT変異マウスと、WTマウスの腎臓組織において、補体(C3)の沈着につきIFにて解析した。その結果LAT変異マウス腎においてC3の沈着を認めた。しかしながら、WTマウスにおいてもC3沈着がみられ、IFの条件設定をしていく必要があると考えられた。

今後の研究の推進方策

モデルマウス腎組織における補体沈着につき免疫染色を行っているが、コントロールと差を認めなかったため、今後条件設定を行っていく予定である。
また今後以下の解析を予定している。
①モデルマウスの補体発現解析
モデルマウスの腎臓の補体、補体受容体の発現を、定量的PCR法、ウェスタンブロット法、免疫染色を用いて、唾液腺、腎臓、膵臓、肺、リンパ節における発現と比較検討する。
②患者症例の補体発現解析と、補体活性能評価
臓器毎の各種補体発現を、定量的PCR、ウェスタンブロット法、免疫染色を用いて、唾液腺、腎臓、膵臓、肺、リンパ節における発現と比較検討する。また末梢血免疫グロブリンの補体活性能を、IgG4-RKD患者と、コントロール患者で比較する。

次年度使用額が生じた理由

次年度、各種補体発現を、定量的PCR、ウェスタンブロット法、免疫染色を用いて解析予定である。PCR酵素購入費、抗体購入費など多数の支出が見込まれ、次年度に持ち越した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] LatY136F knock-in mouse model for human IgG4-related disease2018

    • 著者名/発表者名
      Yamada Kazunori、Zuka Masahiko、Ito Kiyoaki、Mizuguchi Keishi、Kakuchi Yasushi、Onoe Tamehito、Suzuki Yasunori、Yamagishi Masakazu、Izui Shozo、Malissen Marie、Malissen Bernard、Kawano Mitsuhiro
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 13 ページ: e0198417

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0198417

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Abundant a proliferation-inducing ligand (APRIL)-producing macrophages contribute to plasma cell accumulation in immunoglobulin G4?related disease2018

    • 著者名/発表者名
      Kawakami Takahiro、Mizushima Ichiro、Yamada Kazunori、Fujii Hiroshi、Ito Kiyoaki、Yasuno Tetsuhiko、Izui Shozo、Yamagishi Masakazu、Huard Bertrand、Kawano Mitsuhiro
    • 雑誌名

      Nephrology Dialysis Transplantation

      巻: Epub ページ: Epub

    • DOI

      10.1093/ndt/gfy296

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Serum IgG4 levels at diagnosis can predict the outcomes of untreated patients with IgG4-related disease: a Japanese single-center retrospective study.2018

    • 著者名/発表者名
      Mizushima I,Suzuki N,Yoshida M,Takeji A,Matsunaga T,Zoshima T,Hara S,Ito K,Fujii H,Yamada K, Kawano M.
    • 学会等名
      Annual European Congress of Rheumatology Jun. 13-16, 2018 (Amsterdam,Netherlands)
    • 国際学会
  • [学会発表] 大規模コホートデータを用いたIgG4関連疾患における体補体血症に関する因子の検討2018

    • 著者名/発表者名
      水島 伊知郎,山田 和徳,山本 元久,佐伯 敬子,松井 祥子,谷 悠紀子,原 怜史,伊藤 清亮,藤井 博,川野 充弘
    • 学会等名
      第62回日本リウマチ学会総会・学術集会 Apr.26-28,2018(東京)
  • [学会発表] IgG4関連腎臓病の低補体血症に対するIgG4以外のIgGサブクラスの関与2018

    • 著者名/発表者名
      水島 伊知郎,山田 和徳,山本 元久,佐伯 敬子,松井 祥子,谷 悠紀子,原 怜史,伊藤 清亮,藤井 博,川 茂幸,川野 充弘
    • 学会等名
      第61回日本腎臓学会学術集会 Jun.8-10,2018(新潟)

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi