研究課題
2020年度は常染色体優性間質性腎疾患(ADTKD)が疑われた16家系について、次世代シークエンサー(NGS)を用いた包括的腎疾患関連遺伝子解析を施行した。遺伝学的に診断できたのは6家系(37.5%)で、HNF1B(2家系2例)、MUC1(1家系2例)、REN、SEC61A1, PKD1(各1例)であった。MUC1、HNF1B、REN、SEC61A1はいずれも既知のADTKD関連遺伝子である。SEC61A1症例はこれまでに国内で確認されていないため慎重に評価する必要があるが、臨床像からは病因である可能性が高いと考えている。MUC1に異常によるADTKDは、MUC1遺伝子内のくり返し配列(VNTR)への1塩基挿入が発症原因であり、そのため従来のshort read型NGSでは遺伝子変異は同定できないとされていた。われわれはNGSを用いた包括的遺伝性腎疾患解析で既に2例のMUC1症例を同定しており、今回さらに1家系2例の診断を確定できたことで、従来型NGSでもADTKD-MUC1をスクリーニングできることが確実であることを示すことができた。本研究を通じてすべてのADTKD遺伝子異常を確認できたことから、わが国でのADTKD遺伝学的診断体制を確立することができた。本研究期間(2018-2020年)に39家系のADTKD疑い症例の遺伝子解析を施行し、16家系で原因遺伝子が同定できた(診断率41.0%)。その間にBICC1やPKD1変異例がADTKDと同様の臨床像を呈しうることも示すことができた。また本研究機関中にADTKDに加えCAKUTやネフロン癆症例など合計で276家系の解析を施行し、132家系で診断を確定した(診断率47.8%)。包括的な慢性腎疾患(CKD)・嚢胞性腎疾患の遺伝子解析体制を構築することができたと考えた。
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