腎障害の進行の重要な因子に蛋白尿と線維化がある。セマフォリン3A(SEMA3A)はもともと、血管新生、免疫系などの生物学的機能を調節するガイダンスタンパク質として発見された。今回我々は蛋白尿に関連しドキソルビシン(Dox)誘発性上皮細胞障害マウスモデルにて腎障害の進行に対するSEMA3Aの病理学的役割及びSEMA3A阻害剤SM-345431(SEMA3A-I)の治療効果を検討した。Dox投与により蛋白尿は有意に増加し、上皮細胞のアポトーシスの増加及びSEMA3A発現を増加させておりSEMA3A-I治療で抑制された。In Vitroでは、SEMA3A過剰発現は上皮細胞のアポトーシスを引き起こしたが、SEMA3A-IはDoxによって誘発された上皮細胞のアポトーシスを改善させ、これらはc-Jun N末端キナーゼ(JNK)シグナル伝達を促進し、JNK阻害剤はSEMA3A誘導細胞アポトーシスを抑制し、JNK経路がSEMA3Aに関与することを解明した。これらはInternational journal of molecular Scienceに掲載された。次に腎臓線維化については、マウス尿細管結紮モデル(UUO)にて検討を行った。近位尿細管細胞のSEMA3Aの発現はUUO腎臓で増加しSEMA3A-I治療は腎線維化ならびに腎線維化マーカーα-SMA、フィブロネクチン、およびビメンチン/ E-カドヘリン比さらにJNKは抑制された。In Vitroでは、ヒト近位尿細管細胞においてSEMA3A及びTGF-β1によりEMTを引き起こしたが、SEMA3A-IはTGF-β1によって誘発されたEMTを抑制させていた。さらにJNK阻害剤はSEMA3AおよびTGF-β1によって誘発されるEMTを抑制させた。これらは、現在論文化し投稿中である。
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