研究課題
1. 糖尿病モデルによる病態特異的分子標的治療昨年度までの検討において、各種培養細胞への高血糖、終末糖化産物(AGE)、アンジオテンシンII、H202などによる刺激を行うと、BMP4が誘導されSmadlC末端リン酸化が活性化され、細胞外基質蛋白が増加していた。これら細胞障害を誘導させた状態で糸球体様スフェロイドを用いて有効性が確認されたERK, MAPK, GSK3betaのシグナル阻害剤を添加すると、Smadl Linker部のリン酸化が増加し、Smadlの不活化を認めた。また、Smadl Linker部がリン酸化されたpSmadlLを強制発現させた培養メサンギウム細胞にAGEを添加したところ、Smadl C末端のリン酸化は減少した。Smadl Linker部の活性化は、Smadlの核内移行を抑制するかSmadlの分解を促進させることが示唆された。糖尿病と肥満モデルであるdb/dbマウスへ脂質改善薬を投与すると、pSmadl C末端のリン酸化が抑制され、pSmadl Linker部のリン酸化は増加されることが分かった。また、糸球体病変も抑制された。2. 病態特異的なバイオマーカーのヒトでの臨床的評価・解析前年度までに探索した病態に依存して変化するバイオマーカーを用いて、既に確立している臨床サンプル中の患者尿の測定を行った。昨年度は、exosome中核酸定量を行い糖尿病性腎症の進展予測マーカーを評価した。今年度は、微小変化型、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜性腎症を対象に検討を行った。病態に応じてマーカーの変動が異なっており、特定の病態を反映することが示唆された。これまでに複数の侯補マーカーを選定できており、バイオマーカーのパネル化によるLiquid Biopsyでの病態診断ができるようデータを蓄積中である。
すべて 2020
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J Med Invest.
巻: 67
10.2152/jmi.67.315