研究課題/領域番号 |
18K08247
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
泉 裕一郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (20736243)
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研究分担者 |
向山 政志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40270558)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腎尿細管 / NFAT5 / 尿濃縮 / 慢性腎障害 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度の目的として、尿細管細胞の浸透圧応答転写因子NFAT5の生理的役割を明らかにするために、実験を進めた。 NFAT5ドキシサイクリンの飲水投与により、尿細管特異的にNFAT5をノックアウトした。その後、自由飲水、食餌摂取下に飼育した。定期的に代謝ケージ内で蓄尿し、尿量、尿浸透圧、尿中電解質排泄量などを測定した。またtail cuff法にて血圧を測定した。約3か月の観察後サクリファイスし、下大静脈または大動脈より血液を採取し、血中電解質濃度、尿素窒素値、クレアチニン値、浸透圧、各種ホルモン値などを測定した。また腎組織を採取し、リアルタイムPCR法とウェスタンブロッティングによって、尿濃縮関連遺伝子群と尿中ナトリウム再吸収関連遺伝子群のmRNAと蛋白の発現量を評価した。 その結果、野生型マウスに比べて、NFAT5ノックアウトマウスでは多尿と尿浸透圧の低下を生じ、一方ナトリウム排泄量の減少を生じることを確認した。血圧はノックアウト群でやや高値を示した。血液検体においては、血清ナトリウム濃度の高値を認めた。腎組織の遺伝子発現については、尿濃縮関連遺伝子である、水チャネルAQP2や尿素トランスポーターUTA-1のmRNAの発現が減少していた。AQP2については蛋白発現も同様に減少していることを確認した。現在、その他の尿、血液検査結果や、腎組織内の遺伝子発現量について検討し、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結果の解析中であるが、次年度の実験モデルの作製を開始しており、おおむね当初の計画通りに実験を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、NFAT5ノックアウトマウスを用いて、片側尿管結紮腎線維化モデルを作製し、野生型マウスと線維化の程度について、組織染色法にて検討する。各種線維化、腎障害マーカー遺伝子群の発現をリアルタイムPCR法やウェスタンブロッティングによって評価する。
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