研究課題
本申請研究では、「糖尿病やCKDで蓄積する終末糖化蛋白(AGEs)がPADの発症進展および治療抵抗性に強く関与する」との仮説を検証するために①CKD患者の横断疫学的手法により、AGEsとPADの有病率、重症度、また患者内皮前駆細胞機能不全との関連を分析 ②PAD患者におけるAGEsと幹細胞治療効果との関連の分析 ③CKDモデル動物に下肢虚血を惹起しAGEsと血管新生・修復との関連、また幹細胞治療への影響 以上3つのアプローチで仮説を検証し、さらに新規治療法の確立のため、AGEs/ receptor for AGEsに対するDNA-aptamerの効果を検証することを目的としている。臨床横断研究においては、一般人口に比し、維持透析患者ではAGEsが著明に増加していること(n=51)、またAGEsレベルとABIには強い性の相関が、またPADと診断された群ではAGEsが有意に観察された。さらには有意差は認めないものの、血管石灰化指標であるAgaston score(CTにて測定)とAGEsの間には正の関連(r=0.26, p=0.10)が観察された。以上の結果から、透析患者で蓄積するAGEsは動脈硬化、血管石灰化、PADの発症進展に重要な役割を果たしている可能性が示唆され、現在、臨床研究の対象者の拡充および腎不全動物モデルを作成し、AGEs/ receptor for AGEsに対するDNA-aptamerを用い、AGEsの血管における詳細な役割の解析を進めている。また対象者EPCs機能との関連、またPAD治療を行った症例に関しては、治療効果とAGEsの関連を後ろ向きに解析中である。
2: おおむね順調に進展している
臨床研究では仮説通りの結果が得られ、順調に進展しており、当初立てた作業仮説には大きな問題がないと考える。動物実験に関しては当施設の動物実験施設の移転などあり、中断せざる得なかったが、現在モデル作成も順調であり、良好な結果が得られるであろうと考えている。
臨床研究においては、対象者とくに治療効果への影響を後ろ向きに検証するには多くの対象患者が必要であり、共同研究施設を拡充している。
臨床検体に関して、一括してサンプル測定を行う予定としたため、本年はサンプルを凍結保存し、次年度に測定する予定であるため。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Microvasc Res.
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