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2019 年度 実施状況報告書

免疫性腎炎に対する脱分化脂肪細胞療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K08255
研究機関日本大学

研究代表者

丸山 高史  日本大学, 医学部, 准教授 (10459901)

研究分担者 逸見 聖一朗  日本大学, 医学部, 助教 (10817240)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードDFAT細胞移植 / 腎症改善 / 改善の機序 / 免疫
研究実績の概要

我々は平成27年から29年度の科研費(15K09280)にてDFATの細胞移植が免疫性腎炎を改善する事を見出した。そこで今回の科研費を用いて、ヒトの疾患にも存在するANCA関連腎炎のモデル動物であるSCG/ThpNkcマウスに対してその効果を確認している。1×10の5乗個/頭のDFATを細胞移植して、その後1時間、24時間、1週間後、2週間後の体内分布を検討した。結果は移植1時間後にDFATは肺にトラップされていることが確認され、移植後1週間後以降トラップされているDFATが減少していた。いずれの時期も肺以外への臓器の移行は認められなかった。同様に細胞移植を行い1ヵ月後にsacrificeを行い、血液や各臓器を採取して腎症に対する移植の作用効果を検討した。コントロール群と比べて移植群の方が生存率の改善を認めた。腎組織所見では移植群の方が糸球体障害指数(GIS)について有意に改善を認めた。real-time PCR 法でICAM、VCAMにおいては両群に優位な発現の差を認めず、TSG-6の発現は投与群で優位な上昇を認めた。尿蛋白排泄量に関しては両群とも有意差を認めなかった。採血結果においては移植群の方がBUN、Cre、MPO-ANCAが低下していた。脾臓細胞におけるActivated Tregの発現は両群に有意差を認めなかった。腎臓でのWestern blot法においては、MCP-1蛋白発現の有意な低下とCCL17蛋白発現の有意な増加を認めた。移植された間葉系幹細胞と類似するDFATが免疫性腎炎を改善する機序として、抗炎症作用をもつTSG-6の発現亢進以外にM1マクロファージからM2マクロファージへの形質変換の誘導が関与していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

DFATの細胞移植によるANCA腎炎の改善効果を上記の通り検討しその結果、生存率や腎組織所見としてGISスコア、採血結果においてはBUN、Cre、MPO-ANCAについて移植群の方が改善していたが、尿蛋白排泄量に関しては両群とも有意差を認めなかった。これに対しての解釈をするために時間を要して進捗状況に遅れを生じた。またDFATが障害臓器である腎臓に到達しないにもかかわらず腎障害を改善することについて上記の抗炎症作用、M1マクロファージからM2マクロファージへの形質変換の誘導以外に他に可能性が無いかを検討するのに時間を要した。前者に対してはSCGマウスの腎炎の状態について、蛋白尿が最も認められる時期を今までのデータから再確認して、その時期にDFATを細胞移植することにより治療効果がより顕著な結果が得られると現時点では予想した。後者については間葉系幹細胞由来のエクソソームが障害臓器を改善することが最近報告されており、DFATについてもエクソソームについて再度検証すべきとの結論になり、追加して検討することになった。具体的な内容としてエクソソームについて正常なマウスと腎障害マウス、腎障害マウスにDFATを移植した群の血液中、肺、腎臓でのエクソソームを精査して腎障害マウスと治療群のエクソソームで前述のTSG6の発現が亢進しているかをreal-time -PCRにて測定をする、更には正常マウスと腎障害マウスのエクソソームの解析を行い、腎障害時に発現が亢進している物質を検索してそれらが更にはDFATを移植することで更に亢進している物質の検索を行い、DFATの細胞移植による腎障害改善の機序解明を行うべきと考えに至り、その考察に至るまでの報告検索、実際の検査キットなどの有無の調査に時間を費したため進捗状況が遅れ気味となった。

今後の研究の推進方策

今までの結果よりSCGマウスは8~10週齢の時期がより蛋白尿の検出が強く認められる傾向にあった。そのためその時期にDFATを移植してその効果を再度検討する。肺、腎臓、血液におけるエクソソーム量も測定する作業も追加する。具体的手順は以下の通りである。1.6週齢から蓄尿を開始する。1. 週間に1回24時間蓄尿を行い、尿量と一日尿蛋白・微量アルブミン量と定性試験にて潜血反応の経過を観察する。2.8~10週齢にかけて細胞 移植する群(DFAT投与群)、(siRNA前処置DFAT投与群)とDFATを投与しない群(腎炎群)に無作為に割り付けを行う。 3. DFAT投与群のマウスに対して、1×10の5乗個/のDFATを経静脈的に細胞移植する。4. 移植1か月後に腎臓・脾臓・肝臓・心臓・肺・腫大リンパ節を観察後に摘出する。5. 血液検体でBUN,Cre,ANCA、IL-1、IL-6、IL-8、TNF-α、TSG-6濃度をELISA法で測定する。HE染色、PAS染色、PAM染色、マッソントリクローム染色を行う。また肺も摘出し-80℃に凍結保存して、腎臓と共にFACS解析にてTregを、またWestern blot 法にTSG-6、Indoleamine 2,3-dioxygenase (IDO)、Interferon-γ(IFN-γ)、Monocyte Chemotactic Protein-1(MCP1)、IL-6、IL-12、TNF-α、CCL17、IL-4、IL-10、mannose receptorを測定する。またGISスコア・TISスコアのスコアリングを行う。6. 各群の血液や肺、腎臓中のエクソソームの発現量について前述の進捗状況の欄に述べた通り測定を行い評価する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ANCA関連腎炎に対する脱分化脂肪細胞(DFAT)治療の開発2019

    • 著者名/発表者名
      宇都宮 慧、丸山高史、深澤みゆき、常見明子、遠藤守人、松本太郎、福田 昇、阿部雅紀
    • 学会等名
      第62回日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] ANCA関連腎炎に対する脱分化脂肪細胞 (DFAT) 治療の開発2019

    • 著者名/発表者名
      宇都宮慧、丸山高史、深澤みゆき、常見明子、遠藤守人、松本太郎、福田昇、阿部雅紀
    • 学会等名
      第10回腎不全研究会

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公開日: 2021-01-27  

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