移植腎症(137例)の疾患コホートにおいて, 移植腎におけるDNA損傷の定量的評価と腎機能障害との関連について,移植早期における無機能腎あるいは機能発現遅延の診断に適切な指標であることを明らかとした.さらに,長期移植腎症でDNA損傷を伴う糸球体におけるVI型膠原線維の蓄積に関して,培養ヒト糸球体内皮細胞における細胞内シグナル伝達経路をDNA損傷誘発剤マイトマイシンC (MMC)等で処理した実験系により検討し, DNA損傷によるVI型膠原線維の分泌にはATRキナーゼ経路が関与し,直接的あるいは間接的に輸送蛋白として働くANXA2に作用することが示唆された.
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