嚢胞性腎疾患群は腎臓や肝臓に嚢胞が形成される遺伝的腎疾患であり、糖代謝や糖鎖の異常により細胞増殖が亢進し、病態が悪性化していく。本研究では糖代謝阻害剤が糖鎖合成を阻害して、嚢胞拡大を抑えるかどうかを解析した。6-アルキニルフコースは肝嚢胞を抑える可能性が示唆された一方、7-アジドキシロースは嚢胞腎細胞株の増殖を抑えた。また近年着目を浴びている2-デオキシグルコースは、糖脂質合成酵素阻害剤と併用することで効果が高まることもわかった。さらに、そのメカニズムの鍵となる分子としてGDP-2-デオキシマンノースやUDP-マンノースの存在を同定し、単糖代謝阻害剤による治療戦略に新たな視点をもたらした。
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