研究課題/領域番号 |
18K08262
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
沼崎 宗夫 東北大学, 大学病院, 准教授 (50344677)
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研究分担者 |
藤村 卓 東北大学, 大学病院, 講師 (50396496)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サイトカイン / 血管新生 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
IL-36βの血管新生に対する作用を検討する目的で、truncated IL-36β が VEGF 産生を増強・抑制する作用があるか、truncated IL-36β 蛋白を線維芽細胞に作用させ、ELISAにて培養液中のVEGF濃度の測定を行なった。Truncated IL-36βの刺激で線維芽細胞からのVEGF産生が増加した。この結果よりTruncated IL-36β が血管新生を増強する可能性があることが明らかになった。 MCA205Neo細胞およびMCA205-GH-truncated IL-36β細胞をマウスの皮下に接種し、12日目に形成された腫瘍組織を採取して切片を作成した。MCA205Neo細胞が形成した腫瘍組織では腫瘍細胞が密に並んでいた。一方、MCA205-GH-truncated IL-36β細胞が形成した腫瘍組織では腫瘍内出血が生じていた。これらの結果より、MCA205-GH-truncated IL-36β細胞が形成する腫瘍組織では、腫瘍血管の形成不全が生じている可能性が考えられた。 MCA205Neo細胞よびMCA205-GH-truncated IL-36β細胞を接種した12日後にマウスから脾臓を採取し、CD4 T cell および CD8 T cell を分離し、anti-CD3 antibodyとanti-CD28 antibody で刺激し、培養液中の IFN-γ、および IL-4 および IL-10 の濃度をELISAにて測定した。MCA205-GH-truncated IL-36β細胞を接種したマウスの脾臓から分離したCD4 T cell およびCD8 T cellを刺激した培養液中のIFN-γ濃度は、コントロールのCD4 T cell およびCD8 T cellを刺激した培養液中のIFN-γ濃度に比較して著明に増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ交付申請書に記載した研究実施計画に近いペースで実験が順調に進行している。 Truncated IL-36βが血管新生を増強する作用を有していることが明らかとなり、この生理作用が truncated IL-36βの抗癌作用に関連している可能性が示唆された。また、truncated IL-36βが脾臓のCD4 T cell およびCD8 T cell の IFN-γ や IL-4 および IL-10 の産生に影響していることも、truncated IL-36βの抗癌作用に関係していることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、再度 truncated IL-36β の抗癌作用に関与する effector cell を好中球、NK cell、NKT cell、CD4 T cell および CD8 T cell を depletion する抗体を用いて確認する予定である。また、腫瘍組織の CD4 T cell および CD8 T cell の免疫染色を施行し、腫瘍組織内の免疫系細胞の種類の同定を行なう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
再現性を確認するために実験回数を3回として計画していたが、2回行なった実験結果がほぼ一致したために3回目の実験を行う必要がなくなった実験があったため。
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