研究課題
自然リンパ球 (innate lymphoid cell、以下ILC)は、3つのサブセットからなり、そのうち、ILC2はアトピー性皮膚炎や気管支炎喘息などのアレルギー炎症に関与している。皮膚においても、表皮直下にILC2が存在することが知られており、皮膚炎症のイニシエーターとしての役割も示唆される。本研究は、生体に侵入した病原体を速やかに認識する、トル様受容体(Toll-like receptor, 以下TLR)に着目し、ILC2の制御法について、明らかにするものである。本年度は、末梢血より分取したILC2を用いて、ケラチノサイトとの共培養を行い、バリア機能を測定した。ILC2はヒト末梢血中の希少細胞であるため、セルソーターを用いて、細胞を分取し、さらに本研究に用いるため、培養、増殖させた。ILC2とケラチノサイトの共培養において、ILC2存在下では、皮膚バリア機能が抑制することを経表皮電気抵抗やFITC-dextranを用いた細胞間隙透過性の評価によって確認した。さらに、この実験系とは別に、ケラチノサイトにTLRリガンドを加え、ケラチノサイトを培養したところ、経表皮電気抵抗が上昇する一方、FITC-dextranを用いた細胞間隙透過性は低下した。さらに、本実験系に、ILC2を加えると、皮膚バリア機能はTLR刺激下でみられたバリア機能の亢進が、抑制された。このことは、TLR刺激によって、ケラチノサイトを介してILC2の機能に影響を及ぼした可能性とTLR刺激がILC2を直接的に作用し、その機能を修飾した可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
ILC2のTLR刺激下でのバリア機能について検証した。
共焦点レーザー顕微鏡を用いた形態学的な評価ならびに異なるT L R刺激下でのバリア機能についても検討する。
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Allergy
巻: 74 ページ: 2534-2537
10.1111/all.13935.