研究課題/領域番号 |
18K08276
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
村上 孝 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00326852)
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研究分担者 |
堀内 大 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30608906)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 悪性黒色腫 / 腫瘍免疫学 / 腫瘍内微小環境 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
悪性黒色腫(メラノーマ)は高い免疫原性を持つ一方、その進展過程で特異な免疫逃避能とともに様々な治療に対する抵抗性を獲得することが想起されている。特に腫瘍排除に至らなかった免疫活性化は、免疫編集の結果、腫瘍に免疫逃避能を付与し(抗腫瘍免疫反応の「負の側面」)、腫瘍内の間質形成や浸潤・転移を促進することが示唆されている。本研究では、腫瘍排除に働くはずの抗腫瘍免疫反応が、メラノーマに悪性形質を付与する仕組みを明らかにする。そのために、免疫学的背景を操作したメラノーマ自然発症モデルマウスを利用して、経時的に変化する腫瘍内免疫・微小環境解析とメラノーマ細胞の特性を階層化し、悪性形質獲得のシグナル経路を絞り込むことを計画している。当該年度では、タモキシフェン塗布により局所にメラノーマを自然発症するBRaf(CA)Pten(loxP)Tyr::CreERT2マウス(3遺伝子型混合;通称BPマウス)をJackson研究所より入手し、自家繁殖を開始した。入手当初は自家繁殖が安定しなかった(親マウスに夜新生仔マウスの食殺)が、徐々に安定して尾DNAからのPCR法による遺伝型解析が実施できるようになった。さらに安定した繁殖継続から3遺伝子型混合個体を選別し、タモキシフェン塗布による腫瘍発生試験を実施したい。その一方で、メラノーマ抗原特異的T細胞受容体を有するPmelマウスへのB16F10メラノーマ細胞の移植実験から、野生型マウスと比較して腫瘍サイズやメラノーマのPD-L1発現に大きな変化はなかったものの、腫瘍内のCD4+CD25+FoxP3+調節性T細胞(Treg)の存在比率が増加していた。担がん状態で誘導される免疫編集では腫瘍内Treg増数を指標とした解析を行っていくことについても検討する必要がでてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メラノーマを自然発症するBRaf(CA)Pten(loxP)Tyr::CreERT2マウス(通称BPマウス)をJackson研究所より入手し、自家繁殖を開始したが、繁殖が安定しないため動物モデル作製に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
モデルマウス(通称BPマウス)の自家繁殖は徐々に良好になってきており、安定化まで然程時間はかからないと見込んでいる。遺伝型確認とともに腫瘍発生可能な個体選別から解析を急ぎたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
自然発症するBRaf(CA)Pten(loxP)Tyr::CreERT2マウスの繁殖が計画通り進まずに腫瘍発生実験に遅れが出た。マウスの繁殖安定化にともない当該実験を速やかに実施する計画である。翌年度請求助成金と合わせて解析に必要な実験試薬等を順次購入し、初年度の遅れを取り戻したい。
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