研究課題
本年度は主に次の2点に関し研究を行った。まず、これまで薬剤性過敏症症候群においてHLA-B*13:01と関連のある薬剤でdapsoneについて詳細な検討を行いHLA-B*13:01のサブポケットにdapsoneが嵌まり込むことを報告したが、今回同様の結合が、フェノバルビタール、フェニトイン、アロプリノールでもみられることが分かった。さらにこれら4つの薬剤が、ベンゼン環を持ちその近傍にカルボニル基を持っていることが共通の構造であり、その構造がHLA-B*13:01のサブポケットと結合しやすいことを見出した。2つ目の研究として、ラモトリギンによる薬剤性過敏症と他の薬剤が原因の同症について比較検討を行ったところ、ラモトリギンによる薬剤性過敏症は他の薬剤による同症と比べ、1) 肝障害が軽度である。2) 経過中出現する異型リンパ球が有意に少ない。3) 血清TARC値が低い4) DLST陽性となるまでの期間が有意に早いことがわかり、一方で白血球数、血中好酸球数、血清LDH値、DRESS score、組織学的所見には違いが無いことがわかりJournal of Dermatology 2019. 46(3):226-233.で論文報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通りである。さらにラモトリギンによる薬剤性過敏症症候群の特徴についても検討を行うことができた。
今後はHLA-B*13:01以外のHLAで、薬疹を起こしやすい薬剤との結合を調べることで、これまでの結果との共通点や違いを検討し、薬剤とHLAの結合を阻害する分子(抗体など)の発見に結び付けていきたい。
次年度使用するHLA解析ソフトがやや高額のため、それに充てる予定である。
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J Dermatol
巻: 46 ページ: 226-233
10.1111/1346-8138.14776.