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2018 年度 実施状況報告書

弾性線維再生因子の探索と弾性線維再生への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K08280
研究機関星薬科大学

研究代表者

里 史明  星薬科大学, 薬学部, 講師 (10468580)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード弾性線維 / 細胞老化
研究実績の概要

老化に伴う弾性線維の減少は、老化の特徴である皮膚のしわや呼吸機能の低下、血管硬化を招き、最終的に生命を脅かす事態に陥る。そのため、これらの組織で減少または劣化した弾性線維の再生は、肺疾患や動脈疾患に対し有効な治療・予防の手段となり得る。しかしながら、弾性線維の再生は困難を極めており、その方法の確立が嘱望されている。これまでに、独自に開発した弾性線維コート培養皿を用いた解析から、弾性線維の減少により細胞応答性が低下すること、弾性線維の回復により老齢由来細胞の弾性線維形成能力が回復することを見出している。つまり、正常な弾性線維の存在する環境下と劣化・分解された弾性線維環境下に存在する細胞では細胞機能が異なることが予想され、劣化・分解した弾性線維がネガティブフィードバック的に弾性線維の再生を阻害している可能性が考えられたことから、本研究では、正常な弾性線維、またはエラスターゼにより分解した弾性線維上で複製老化を誘導した肺線維芽細胞を用い、TGF-β処理・未処理時における老化細胞の遺伝子発現を網羅的に解析した。これらの細胞のTGF-β処理時における発現変動比が異なる79遺伝子を抽出し、さらにその中で変動比が3以上異なる遺伝子10遺伝子について、定量PCRで遺伝子発現差異を確認した。その結果、最も発現変動に差異が認められたCOL8A1の弾性線維形成における役割を解析中である。実際には、すでにin vitro弾性線維再構築モデルに使用する細胞にCOL8A1の過剰発現を行い、安定発現細胞株を得ている。他の9遺伝子に関しても現在クローニング中であり、随時安定発現細胞株を作製し、解析を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね順調に推移しているが、組換えトロポエラスチンタンパク質の産生・精製に予想より時間がかかっているため、抽出した遺伝子の機能解析が滞っている。現在、組換えタンパク質産生のスケールアップを行って、組換えタンパク質の回収を行っているところである。また、TGF-β処置による老齢由来皮膚線維芽細胞の網羅的遺伝子発現解析は、胎児由来細胞で得ている結果と同様であったことから、再度サンプルを調整し、次年度以降に行う予定である。また、弾性線維上で誘導した老化細胞から得られたアレイデータで顕著に差を認める遺伝子を複数抽出しており、老齢由来細胞においても、これら遺伝子の変動を解析し、胎児期とTGF-β処理後の老齢由来細胞により発現が異なる遺伝子が抽出できることが予想される。その場合、網羅的な発現解析は、抽出された遺伝子の機能解析を行った後に行うことを予定している。

今後の研究の推進方策

概ね順調に推移していることから、当初の研究計画どおり行っていく予定である。また、計画上レトロウイルスによる遺伝子導入を予定していたが、利便性を考え、エピソーマルベクターを使用した安定発現細胞株の樹立を行っていく予定である。遺伝子発現抑制に関しては、計画どおりレンチウイルスを用いる予定である。

次年度使用額が生じた理由

小額(5000円未満)の残額が生じたため、次年度以降の消耗品購入に充てることを考えている。

備考

現在webページを新規作成中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 弾性線維の崩壊による細胞応答性の変動2018

    • 著者名/発表者名
      岩坪由香、田島楓、酒井寛泰、湯本哲郎、里史明
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学学会年会
  • [学会発表] 弾性線維分解に伴う肺線維芽細胞の細胞応答性の変動解析2018

    • 著者名/発表者名
      岩坪由香、安藤祐介、田島楓、酒井寛泰、湯本哲郎、里史明
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 乳がん細胞浸潤におけるCol8a1の役割2018

    • 著者名/発表者名
      田島楓、安藤祐介、兼平暖、酒井寛泰、湯本哲郎、里史明
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会

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公開日: 2019-12-27  

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