研究課題
IL-36受容体拮抗因子(Ra)欠損マウスの背部にTLR-7とTLR-8のリガンドであるイミキモド3日間塗布することにより、膿疱性乾癬モデルマウスを作製した。そのモデルマウスに対して、好中球細胞外トラップ形成に重要な働きをする酵素であるPADI4の阻害薬で治療をしたとろ、このモデルの皮膚症状が改善することを皮膚所見と病理組織学的所見で確認をした。さらに、病変部のサイトカインの解析をした。CXCL1とIL-1βが上昇することが明らかになった。別の実験として、IL-36Ra欠損マウスの耳にジニトロフルオロベンゼンによる接触皮膚炎を引き起こしたところ、野生型と比較して、耳の肥厚、病理所見で炎症細胞の浸潤が亢進することを観察した。とくに好中球が増加していることが分かった。さらに IL-1β、IL-4、IL-6、IL-10、IFNγ、 IL-17A TNF-α、CXCL1、CCL4、IL-36α、 IL-36β、 IL-36γ、IL-23p19、EBI3について計測をした。この接触皮膚炎増悪モデルに対して、TLR-4阻害薬であるTAK-242で治療実験をしたところ、接触皮膚炎は治癒されることを皮膚所見と病理所見で確認をした。この結果について論文発表をした(Fukushima H et al. Sci Rep 2020)。また別の実験としてIL-36Ra欠損マウスの背部にパンチバイオプシーによる皮膚潰瘍を引き起こしたこところ、野生型と比較して、潰瘍治癒が遷延することを観察した。病理組織学的所見で、皮膚潰瘍部により好中球の浸潤がみられることが分かった。この潰瘍遷延化モデルに対て、TAK-242で治療をしたところ、治癒することができた。in vitroの実験で病変部のヒアルロン酸がTLR-4リガンドとして炎症を悪化させることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
膿疱性乾癬モデルについては論文を投稿中である。接触皮膚炎モデルについては論文を発表した。皮膚潰瘍モデルについては論文を投稿中である。
膿疱性乾癬モデルについては、論文の改訂のための実験を実施する。接触皮膚炎モデルについては、さらに病態解析の研究を進める。フローサイトメトリーを用いて、病態に関与している細胞について解析する。皮膚潰瘍モデルについては論文改訂のための実験を実施している。具体的にはTLR-3リガンドによりIL-36γが分泌されるかどうかの実験を行っていく。
研究室に試薬等の在庫が残っていたため、そちらを優先的に使用した。2019年度は予想を超えて、予算を節約することができた。研究成果を論文として発表するために、それぞれの実験をさらに進めていく必要があるため、次年度使用額は2020年度にすべて使用をする見込みである。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 9件)
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