研究課題
研究代表者は新たな難病制度の下、難病の指定を受けた色素性乾皮症(XP)、コケイン症候群(CS)を代表とする遺伝性光線過敏症の分子細胞診断を専門にしてきた。これらはいずれも紫外線性DNA損傷の修復異常で発症する予後不良の単一遺伝子疾患である。これまで全国の医療施設(皮膚科、小児科、神経内科、遺伝科など)から依頼があった計480例を解析し、150例のXP、32例のCSを新規に見出した。平成30年度も全国から色素性乾皮症、コケイン症候群が疑われる患者が多数紹介された。全症例を細胞生物学的、分子遺伝学的に解析して確定診断を実施した。本年度、色素性乾皮症疑い患者の紹介は19例、コケイン症候群疑い症例は3例であった。その中で色素性乾皮症の確定診断は7例(XP-A;1例、XP-D;24例、XP-V;2例、XPであるが診断未確定;3例)、コケイン症候群と確定した患者は0例であった。色素性乾皮症患者に同定された遺伝子変異はいずれも既知の病的変異であり、小児例では遺伝型から臨床型(重症型)が推測可能であった。
2: おおむね順調に進展している
一昨年同様に、全国から色素性乾皮症、コケイン症候群が疑われる患者が多数(22例)紹介された。全症例を適時当院に受け入れ、これらの患者を細胞生物学的、分子遺伝学的に解析して確定診断を実施した。今年度の全検体数は平成29年度(20例)よりわずかに増加した。臨床的には疾患が強く疑われるが、確定に至らない症例では次世代シークエンスを平成31年度明けすぐに予定している。従って研究の進捗は予定通りであると思われる。
色素性乾皮症、コケイン症候群はいずれも小児慢性特定疾病であり、指定難病である。患者予後改善、患者・家族のQOL向上のために、疾患の早期確定診断が非常に重要である。現在の難病制度が継続する限り、次年度以降も、今年度と同数あるいはそれ以上の患者紹介が全国からあるものと推測される。また、これまで同様、我々が確立して維持している色素性乾皮症、コケイン症候群の分子細胞診断システムにより確定診断が困難な場合には、外注による次世代シークエンス解析を適宜実施し、確定診断、新規の病態解明を目指す。
診断のための試薬(消耗品)代の一部を次年度にまわすため
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
Medical Molecular Morphology
巻: 1 ページ: 1~7
10.1007/s00795-018-0207-x
Journal of Medical Genetics
巻: 55 ページ: 329~343
10.1136/jmedgenet-2017-104877
The Journal of Dermatology
巻: 45 ページ: e334~e336
10.1111/1346-8138.14487
Journal of Human Genetics
巻: 63 ページ: 1181~1184
10.1038/s10038-018-0495-y
Journal of Cutaneous Immunology and Allergy
巻: 1 ページ: 23~26
10.1002/cia2.12011
巻: 45 ページ: e277~e278
10.1111/1346-8138.14310