研究代表者は平成10年より色素性乾皮症(XP)、コケイン症候群(CS)などDNA修復能欠損による遺伝性光線過敏症の分子細胞診断を実施してきた。XP、CSはいずれも予後不良の単一遺伝子疾患で指定難病、小児慢性特定疾病である。これまで全国の医療施設(皮膚科、小児科、神経内科、遺伝科など)から依頼があった500例以上を解析し、165例のXP、35例のCSを新規に見出した。令和2年度も全国からXP、CSが疑われる患者が紹介されたが、コロナ禍の現況、その数は激減した。全症例を細胞生物学的、分子遺伝学的に解析して確定診断を実施した。令和2年度のXP疑い患者の紹介は4例、CS疑い症例は4例であり、XPの確定診断は1例(XP-V)、CSと確定した患者は1例(CS-A)であった。いずれも既知の病的変異が確認され、従来から知られている遺伝型・表現型関連が確認できた。確定診断後、患者に対して速やかな遮光指導、今後の診療方針の立案を行い、その後の患者フォローのための医療体制を整えた。
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