研究実績の概要 |
1. 表皮細胞遊走能の変化ならびに創傷治癒への影響 申請者らはBP230-KOマウス由来培養表皮細胞が、正常表皮細胞より高い遊走能を有していることを確認している。そこで、実際の創傷治癒に与える影響を解明した。① BP230-KOマウス由来表皮細胞を培養し、その遊走能をタイムラプスで撮影、正常表皮細胞と比較、検討。② 直接蛍光抗体法で、BP180などHD構成タンパクの発現ならびにその局在を確認。③ BP230-KOマウス背部皮膚に人工的に6mmの皮膚欠損を作成、上皮化までの過程を経時的に観察。④ 適宜皮膚生検を行い、潰瘍底の伸長する表皮細胞のHD構成タンパクの発現を免疫組織化学染色で確認。 2. BP230タンパクを標的としたBP発症モデルマウスの作成 BP230 (BPAG1-e) には複数のisotypeのBPAG1 (BPAG1-a, BPAG1-b など) が存在するが、BP230独自のタンパク構造をコードしているのはエクソン23と24である。BP230-KOマウスにBP230のエクソン23と24由来のタンパクを投与、免疫させたBP230-KOマウスから血清を回収、BP発症マウスを作成。① BP230のエクソン23、24をクローニング、約30個のアミノ酸からなるタンパクを発現するベクターを作成、大腸菌に形質転換させ、そのタンパクを回収。② BP230-KOマウス皮内に2週に1回投与、8週後に抗血清を回収。③ ELISA 法でそのタンパクに対する抗体産生を確認。④ C57BL/6マウス背部皮膚に抗血清を投与、後日皮膚生検を施行、直接蛍光抗体法で表皮基底膜に抗体、補体の沈着を確認。⑤ 抗BP180 抗体、抗血清を皮内もしくは尾静脈から投与、BPで見られる紅斑、水疱形成など経時的に観察、適宜生検し表皮下水疱、炎症細胞浸潤など評価。
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