研究課題
本年度において、20歳から100歳の様々な年齢層の15例より、血液検体と、皮膚腫瘍切除時の植皮片の残余検体として皮膚を入手した。血液検体に関しては、PBMCを単離してCFSEで標識付けを行い、予め濃度設定した加熱処理黄色ブドウ球菌、加熱処理カンジダ、サイトメガロウィルス断片と共培養した。1週後、CFSE発現が減弱したT細胞を増殖T細胞としてflow cytometryで解析したところ、抗原応答性のT細胞増殖は年齢に関わらず同等であることが判明した。一方で、共培養1週後のT細胞のサイトカイン産生能に関しては、高齢者血中T細胞からのインターロイキン-17、インターフェロンγ産生が減弱しており、加齢に伴い、血中T細胞の抗原応答性増殖は保たれるもののエフェクター機能が弱まると考えられた。皮膚検体に関しては、直径6mm大の皮膚に上述の加熱処理黄色ブドウ球菌、加熱処理カンジダ、サイトメガロウィルス断片を予め条件設定した濃度で皮内注し、2週間培養した。この皮膚片より単離したT細胞のKi-67を増殖指標としてflow cytometryで解析したところ、年齢に関わらず皮膚T細胞の増殖能は保たれていることが分かった。また、抗原応答性サイトカイン産生に関しても、高齢者皮膚T細胞のインターロイキン-17、インターフェロンγ産生が若年者と同様であることが分かった。以上より、血中T細胞は加齢により抗原応答能が減弱する一方、皮膚T細胞では高齢者においても抗原応答能が保たれていると結論づけた。
2: おおむね順調に進展している
検体入手を順調に進められ、研究計画で当初考えていたペースで結論を導き出すことができた。
研究計画で予定していた検討を遂行することができた。昨年度の検討結果と併せ、皮膚T細胞細胞は血中T細胞と加齢に伴う動態を異にし、多様性、抗原応答性を維持しやすいと結論づけ、現在論文投稿中である。
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