研究実績の概要 |
申請者らは、これまでに細胞内で分解されなかったミスフォールド蛋白質がHLAクラスII分子の抗原提示部位に会合し、それらのHLAクラスII/ミスフォールド蛋白質複合体は分解されずに細胞外へ輸送されることを発見した(Jiang, Arase et al. Int. Immunol. 2013)。さらにこれらHLAクラスII/ミスフォールド蛋白質複合体に対する自己抗体が、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群、ANCA関連血管炎等多くの膠原病において自己抗体の標的分子になっていることを見出した(Jin, Arase et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2014, Tanimura et al. Blood 2015, Hiwa, et al. Arthritis Rheumatol 2017)。一方で通常の抗リン脂質抗体陰性の難治性慢性皮膚潰瘍患者の血清中にHLA Class II/β2GPI複合体抗体が存在することを見つけた(Arase et al. Br J Dermatol. 2018)。このことから一部の難治性慢性皮膚潰瘍患者においては、HLA Class II/β2GPI複合体抗体が病的意義を有している可能性が考えられた。そこでさらに難治性慢性皮膚潰瘍患者においてHLA Class II/β2GPI複合体抗体以外の他のHLAクラスII/ミスフォールド蛋白質複合体抗体が存在するかどうか解析した。その結果、難治性慢性皮膚潰瘍患者中の一部の患者において、HLA Class II/β2GPI複合体抗体以外のHLAクラスII/ミスフォールド蛋白質複合体抗体が存在することが判明した。これらのHLAクラスII/ミスフォールド蛋白質複合体抗体も慢性皮膚潰瘍発症に何らかの役割を果たしていることが考えられた。
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