研究課題
申請者らは、細胞内ミスフォールド蛋白質がHLAクラスII分子に会合し、それらのミスフォールド蛋白質/HLAクラスII複合体は分解されず細胞外へ輸送されることを見出した(Jiang, Arase et al. Int. Immunol. 2013)。さらにこれらミスフォールド蛋白質/HLAクラスII複合体に対する自己抗体が、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群、ANCA関連血管炎、バセドウ病等多くの膠原病や自己免疫疾患において自己抗体の標的抗原となっていることを発見した(Jin, Arase et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2014, Tanimura et al. Blood 2015, Hiwa, et al. Arthritis Rheumatol 2017)。一方、明らかな血栓症を認めず通常検査の抗リン脂質抗体が陰性となる難治性慢性皮膚潰瘍患者約3割程度の血清中にβ2GPI/HLA Class II複合体抗体が存在することがある事を見出した(Arase et al. Br J Dermatol. 2018)。以上より本抗体は慢性皮膚潰瘍で何らかの病的意義を有する可能性が考えられた。そこで慢性皮膚潰瘍等におけるβ2GPI/MHCクラスII複合体の病的意義や治療法を検討する目的でβ2GPI/MHCクラスII複合体をマウスに免疫し、血栓症や皮膚潰瘍を呈するか検討した。複数の系統のマウスに細胞に発現したβ2GPI/MHCクラスII複合体を複数回免疫、皮膚症状を検討した。また数ヶ月後マウスの臓器内に血栓症がないか検討した。現時点でまだ疾患発症に至るモデルの確立には至っていないが、さらに異なる系を用いて自己免疫疾患発症を含めて検討を進めている。
2: おおむね順調に進展している
β2GPI/MHCクラスII複合体の病的意義や治療法を検討する目的でβ2GPI/MHCクラスII複合体をマウスに免疫した。現時点では血栓症や皮膚潰瘍を呈するモデルの確立には至っていないが、今後さらに異なるモデル等でモデルマウスの確立を進めて行く。
単にβ2GPI/MHCクラスII複合体をマウスに免疫するだけでなく、異なるデザインの疾患モデルを創出して行く。また自己免疫が関与する慢性皮膚潰瘍に関連する新たな自己抗原をクローニングして行く。
動物モデル作成が既存の消耗品等で行えたため、現時点で次年度への繰越金が生じた。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)
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