研究課題
申請者らはミスフォールド蛋白質/HLAクラスII複合体が細胞表面に輸送されることを発見した。さらに種々の膠原病でミスフォールド蛋白質/HLAクラスII複合体に対する自己抗体が産生されることを見出してきた。原因不明の慢性皮膚潰瘍は患者のQOLが極めて低く、皮膚科医にとっても治療に難渋する疾患の一つである。私たちは以前原因不明の慢性皮膚潰瘍患者の約3割が、抗リン脂質抗体症候群のサブタイプと考えられる抗β2GPI/HLA-DR抗体陽性のグループに属することを発見した。今回細胞質内蛋白、Ro52がIgG/HLAクラスIIと複合体を形成し細胞表面に輸送される現象を新たに発見した。さらにこのRo52/IgG/HLA-クラスII複合体に対する自己抗体は、皮膚潰瘍ができやすい抗MDA5抗体陽性無筋炎型皮膚筋炎や、抗合成酵素抗体症候群患者の患者血清の約90%に陽性となった。さらに抗MDA5抗体陽性無筋炎型皮膚筋炎や、抗合成酵素抗体症候群の患者において、抗Ro52/IgG/HLA-クラスII複合体抗体の治療前後の抗体価の推移は、病勢変化と関連する事が判明した。一方他の自己抗体ではこのような現象は認めなかった。さらに抗Ro52/IgG/HLA-クラスII複合体抗体をRo52リコンビナント蛋白で吸収したところ、皮膚筋炎患者血清ではRo52リコンビナント蛋白ではあまり吸収されないRo52/IgG/HLA-クラスII複合体特異的な自己抗体が産生されていた。このことより本複合体が病原性を有し、抗MDA5抗体陽性無筋炎型皮膚筋炎や、抗合成酵素抗体症候群の病態に関与している可能性が考えられた。
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