研究課題
アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis, AD)の患者患部皮膚から分離された黄色ブドウ球菌の系統株が保有するエンテロトキシンY(SEY) 遺伝子について、以下の実験を行った。A)「精製SEY及びsey欠損株を用いた皮膚免疫細胞の活性化に関する検討」;AD由来黄色ブドウ球菌の3つの系統株のゲノム配列から特徴的なenterotoxin Y遺伝子を見出し、その組換え体は、マウス由来T細胞は活性化せず、ヒト由来T細胞を顕著に活性化すること、加えて、SEY刺激によるTCR-Vα型のユニークなT細胞レパトアのポピュレーションを示すことを明らかにし、論文報告した。さらに、AD由来S. argenteusの特定のクローンのゲノム配列から、上記のenterotoxin Y遺伝子が見つかり、同様な活性を有していることを明らかにした。B)「SEY産生性および遺伝子発現制御に関する解析」; 昨年度に引き続きに各SEY陽性株での産生性が異なることを明らかにしたことを受け、遺伝子発現制御機構を明らかにするために、転写に関わる因子の欠損株を作製を進めている。
2: おおむね順調に進展している
A)「精製SEY及びsey欠損株を用いた皮膚免疫細胞の活性化に関する検討」;精製SEYによるTCR-Vα型のユニークなT細胞レパトアのポピュレーションを活性化することを明らかにし、論文報告した( IAI 2020 Jan 22;88(2):e00360-19)。B)「SEY産生性および遺伝子発現制御に関する解析」。1)SEY遺伝子を保有する各疾患由来株において、引き続きにSEYの産生量の比較解析について、実施した。2)SEY遺伝子発現機構について、いくつかの転写因子に着目して遺伝子組み換え体の作成を進めている。
今後の研究の推進方策として、B)「SEY産生性および遺伝子発現制御に関する解析」について、相同組換え法にて変異株を作製して関連する転写因子を特定してSEY遺伝子発現機構を明らかにする必要があり、現在、変異体の作製を進めている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Infection and Immunity
巻: 88 ページ: e00360-19
10.1128/IAI.00360-19