研究実績の概要 |
ヒト乾癬表皮におけるエンドセリン―1(ET-1)の発現を、病理組織学的に確認した。さらに、イミキモド誘導性マウス乾癬モデルにおいても、表皮にET-1の発現がみられた。また、ヒト表皮細胞(NHEK)を用いて、乾癬に関連する主なサイトカインIL-17, TNF-aで刺激すると、NHEK細胞からのET-1産生が増加した。 すなわちこれらの結果から、イミキモド誘導性乾癬モデルにおいてもヒト乾癬と同様に、表皮のET-1発現が病態に関与している可能性があることが明らかになった。また、ヒトNHEK細胞の結果は、表皮でのET-1発現上昇が乾癬の病態に関わっている可能性が高いことを示唆していた。そこで、このモデルを用いてET-1受容体アンタゴニストの乾癬治療への可能性を確認することとした。 具体的にはイミキモド塗布開始と同時にET-1受容体アンタゴニストのボセンタン、アンブリセンタンの外用を行い、皮膚症状への影響を観察した。しかし、明らかな抑制効果はみられなかった。そこで、イミキモド塗布より少し早め(4日前)からボセンタン、アンブリセンタンを外用したところ、乾癬の皮膚症状を部分的に抑制した。 今後はこの抑制効果の詳細を検討予定である。
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