研究課題/領域番号 |
18K08307
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
神人 正寿 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60401048)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膠原病 / 全身性強皮症 / rna |
研究実績の概要 |
平成30年度は、全身性強皮症やその他の皮膚線維化疾患の皮膚組織からRNAを抽出し、当初の予定通り過去にヒトで報告数が多い環状RNAの中から、皮膚線維化疾患の病変部皮膚で特異的に発現変化しているものを予備実験よりも対象の環状RNA(10種類以上)、症例数(10例以上)や対象疾患(4つ以上)を増やし、real-time PCRを用いての同定を試みたが、正常皮膚との間に有意差を得ることができなかった。そこで、「研究が当初計画どおりに進まない時の対応」に記載した通り、強皮症皮膚由来の培養線維芽細胞を用いてアレイを行なった。 アレイの結果、正常線維芽細胞に比べて強皮症線維芽細胞で発現が変化しているもののうち、50以上のリードを有しtaqmanシステムで検出できる環状RNAとして、ある環状RNA(X)に注目した。 環状RNA Xは強皮症線維芽細胞においてアレイで増加しており、real-time PCRでもその発現と環状RNA/linear RNA比が増加していることが確認された。 一方、正常線維芽細胞において環状RNA Xをレンチウィルスを用いて強制発現させたところ、I型コラーゲンやCTGFの蛋白発現が抑制された。一方、mRNA発現は変化しなかったためpost-transcriptionalな変化と思われた。また、強発現により細胞数も減少するため、強皮症線維芽細胞においてfunctionalな環状RNAである可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに平成30年度の研究計画については完了し、平成31年度以降に計画していた血清中環状RNAの解析に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、同定された強皮症の疾患特異的・機能的環状RNAの血清中濃度の疾患マーカーとしての有用性を評価するため、血清からRNAを抽出し、特異的環状RNAが実際に血清中にも発現しているかを少数のサンプルを用いてreal-time PCRで確認している。今後、血清中での発現が確認された環状RNAについては多数の患者群で血清環状RNA濃度を測定し、正常対照群や他疾患との比較を行い診断マーカーとしての評価をする。さらに患者群において臨床症状との相関を調べて病勢マーカーとしての評価も行う。具体的には、例えば全身性強皮症 においてはスキンスコアや皮膚潰瘍および肺病変・腎病変の有無との相関を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
すでに研究室に存在する試薬を使用したため予算の余裕ができた。そのため、来年度は当初よりも症例数やサンプル数を増やした解析が可能になると考える。
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