研究課題/領域番号 |
18K08310
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
荒尾 知子 (梅垣知子) 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80397629)
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研究分担者 |
久保 亜紀子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50455573)
久保 亮治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70335256)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CHILD症候群 / NSDHL / モデルマウス |
研究実績の概要 |
CHILD症候群モデルマウス(K5-Cre-NSDHL+/--CD1a-tg)の作成 ①CRISPR/Cas9システムを用いたNSDHLターゲッティングベクターの作成 X染色体上NSDHLのexon3の前後2箇所に、CRISPR/Cas9システムを用いてLoxPを挿入してターゲッティングベクターを作成した。CRISPR/Cas9用のガイドRNA選別のためにルシフェラーゼアッセイを行い、ルシフェラーゼ活性の高いガイドRNAを用いた。 ②表皮特異的NSDHLコンディショナルノックアウトマウス(K5-Cre-NSDHLflox)の作成 マウスES細胞に①で作成したNSDHLターゲッティングベクターをエレクトロポレーションにて導入し、コロニーのピックアップを行った。ES細胞のスクリーニング後、胚盤胞(BALB/c)への注入を行い、NSDHLキメラマウスを作成した。ES細胞(毛が黒色)とホスト胚(BALB/c)(アルピノ)とのキメラF1マウス(♂)と、B6 (黒色)マウスと交配し、黒色のF2マウス♀5匹について、ジェノタイピングを行った。キメラマウスの尾からCica GeneusトータルDNAプレップキットを用いてDNAを抽出した。ターゲットベクターを挟むように数カ所primerを設定してPCRを行い、ジェノタイプを確認した。さらにNSDHLキメラマウスとK5-Creを掛け合わせてNSDHL変異を持つK5-Cre-NSDHLfloxを作成し、表皮特異的にNSDHLをノックアウトした。表皮特異的NSDHLコンディショナルノックアウトマウスの皮膚にモザイク状に脱毛を伴うphenotypeが見られ、その部位の皮膚を生検して、皮膚のHE染色、NSDHLの発現を免疫染色で確認し、Western blotにてNSDHLの発現量の定量を行う。また、ガスクロマトグラフィーにてコレステロール代謝物の定量を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NSDHLキメラマウスを作成し、ジェノタイピングにて確認できている。表皮特異的NSDHLコンディショナルノックアウトマウスを作成し、マウス皮膚にモザイク状に脱毛を認めており、今後はphenotypeの確認を行う。 しかし、COVID-19感染拡大に伴い、共同研究施設である慶應義塾大学皮膚科での研究のための立ち入り制限、東京女子医科大学東医療センターにおけるクラスター発生に伴う外出自粛などがあり、さらに海外からの試薬の入手も困難となっており、当初の計画通りに実験が進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
表皮特異的NSDHLコンディショナルノックアウトマウスの皮膚に、モザイク状に脱毛を認めている。このマウスの表現型を解析するため、マウス皮膚を表皮および真皮に分離し、ガスクロマトグラフィー(GC-MS)にて脂質の解析を行い、異常なコレステロール代謝物の蓄積を検討する。さらに、表皮および真皮のtotal RNAを回収し、 RNAseqにて遺伝子プロファイルを検討する。また皮膚炎発症のメカニズムを検討するため、皮膚組織の免疫染色、末梢血および皮膚組織に浸潤している細胞のFACS解析行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、CHILD症候群のモデルマウスの作成を目指し、表皮特異的NSDHLコンディショナルノックアウトマウスの皮膚にモザイク状に脱毛を伴うphenotypeの解析を終了する予定であったが、COVID-19感染症流行のため、必要な試薬や、実験施設の使用制限があり、予定通りの実施が困難であった。したがって、2020年度にはこれらの実験の遂行のため、予算を使用する。
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