研究課題
(1)スクリーニング可能な細胞株の作成: 2018年度に完了済みである。(2)CRISPRスクリーニングの実行: 2018年度のT/NK細胞リンパ腫細胞株5種類に加え、2019年度は更に3種類のT/NK細胞リンパ腫細胞株に対し、19,114遺伝子に対して76,441sgRNAが含まれたレンチウイルスsgRNAライブラリーを感染させ、28日間の継代培養を経た細胞からゲノムDNAを抽出した。感染直後の細胞からのゲノムDNA と共に、レンチウイルスゲノム配列に特異的なPCRプライマーを用いてsgRNA配列をPCR増幅したものを、次世代シークエンサーNEXTseq500でシークエンスした。感染直後と比較して28日間の継代培養の間に細胞数を有意に減少させたsgRNAを網羅的に同定し、治療標的候補遺伝子リストを作成した。本年度に新たに解析した3種類の細胞株の内、残念ながら1種類はスクリーニングが正しく機能していなかったが、残りの2種類では品質の良いスクリーニング結果が得られた。(3)CRISPRスクリーニング結果の確認: (2)で得られた大規模スクリーニングデータセットから、各T/NK細胞リンパ腫病型に特徴的な治療標的遺伝子候補を同定した。この中の一部は確認実験をほぼ終了し、スクリーニングデータの正確性を確認できている。治療標的遺伝子候補の中には他疾患に対する治療薬として保険適応となっている薬剤の標的分子が含まれていたことから、当該薬剤に対するT/NK細胞リンパ腫細胞株の感受性を分析し、論文発表へ向けて実験結果を集積している。
2: おおむね順調に進展している
2018年度で研究1項目は完了し、2019年度は研究2項目の完了と研究3項目に進展しており、進捗状況は順調である。現在T/NK細胞リンパ腫の一病型に特徴的な治療標的遺伝子について、論文発表に必要な実験結果を集積している。また、本研究から派生した米国Fox Chase Cancer Centerとの共同研究において、2019年度に論文発表を行った(Blood, 132:171-185, 2019. Co-corresponding author)。
スクリーニング段階は終了し、このデータセットを元に病型ごとに特徴的な分子標的の解析を進める。本年度はT/NK細胞リンパ腫の一病型に特徴的な治療標的遺伝子について、論文発表を目指す。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Blood
巻: 132 ページ: 171-185
10.1182/blood.2019001043
Blood Adv.
巻: 3 ページ: 1003-1010
10.1182/bloodadvances.2018028431
http://www.hokudai-hematology.jp/medical/basic-research/index3.html