研究課題/領域番号 |
18K08316
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
錦井 秀和 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30512834)
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研究分担者 |
加藤 貴康 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20646591)
日下部 学 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40804381)
小原 直 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70422178)
横山 泰久 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70512820)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 造血ニッチ / 骨髄異形成症候群 / 骨髄繊維症 |
研究実績の概要 |
骨髄異形成症候群(MDS)の骨髄生検検体と骨髄浸潤を認めなかったリンパ腫患者検体(これを正常検体対照とする)について、Nestin (神経・間葉幹細胞マーカー)/GFAP(シュワン細胞マーカー)の発現解析を行い、MDSのうち繊維化を伴う一亜型、MDS with fibrosisにおいて未熟シュワン細胞が骨髄内で異常増殖している事を明らかにして, 論文発表を行った(Cao sy et al. Int J Hematol. 2019)。この結果は非造血系細胞で構成される造血環境が、造血器腫瘍の発生母地としての役割を担っている可能性を示唆している。また、Notchシグナルを間葉系細胞特異的に障害することができるマウスモデルを用いて、Nestin陽性の間葉系細胞におけるNotchシグナルの障害が、骨髄中マクロファージの機能障害を誘導し赤血球分化障害を誘導することを明らかにした (Sakamoto et al. Stem Cells. 2019)。 さらに現在、TSA(Tyramide Signal Amplification) システムと蛍光スペクトラムイメージングシステムを組み合わせた、抗体由来種に依存しない新規免疫染色システムによるヒト造血器腫瘍における造血環境変化の可視化を試みた。このシステムにより、最大6種類のパラメーターを同時に染色し、蛍光スペクトラムでマルチカラー染色のシグナルを認識することにより、マルチパラメーターの解析を行うことが可能となった。組織・細胞の形態と蛍光情報の複雑なデータを機械学習で解析することにより骨髄環境の解析を現在行っている。プレ実験データでは骨髄領域毎に異なる非造血細胞(繊維芽細胞、脂肪細胞、血管内皮細胞)の増生が確認され、現在その病的意義について解析を行っている(学会発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請プロジェクトにおいて、2つの造血器疾患における造血環境異常に関する論文発表を行った (Cao et al. Int J Hematol. 2019, Sakamoto et al. Stem Cells, 2019)。またTSAシステムを用いた骨髄環境の可視化も概ね順調に進んでいる。 一方、骨髄穿刺液由来間葉系細胞の遺伝子解析については、採取効率が悪く、十分な解析が進んでおらず、今年度以降の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
免疫染色を用いた骨髄環境のマルチパラメーター解析に関しては、予定通り研究を進めていき、今年度の学会発表及び論文作成を検討する。造血ニッチ細胞の遺伝子解析についてはマウス白血病モデルを用いたRNAシークエンス解析、ヒト検体においても微量細胞からのDNA/RNA抽出を試みる。技術的には、SINC-Seq法(Abdelmoez et al. Genome Biol.2018)で発表した方法を応用して解析することを検討している。
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