研究課題
多発性骨髄腫は現在においても依然治癒が望めないままである。多発性骨髄腫の治療抵抗性を克服し、特にこれまでの治療では困難であった骨破壊・喪失部に骨再生を促す治療法の開発が重要な臨床課題として残されている。遺伝子、蛋白の網羅的な解析により骨破壊背病変内の骨髄腫細胞や骨髄腫骨髄微小環境ではTAK1-PIM2経路の異常活性化を見出した。そこで、骨髄腫の腫瘍進展・治療抵抗性ならび骨破壊・喪失におけるTAK1-PIM2経路の役割を分子生物学的に解明するとともに、TAK1-PIM2経路を標的とした新規の機序で腫瘍抑制を図りつつ、骨喪失部に骨再生と腫瘍抑制性の骨髄細胞環境を誘導するという画期的な治療法を開発することを目的とする。TAK1阻害薬(5Z)-7-oxozeaenolの添加やTAK1siRNAの処理により、骨髄腫細胞の生存・増殖とともにVEGFなどの血管新生因子や骨病変形成因子の産生、VLA-4-VCAM-1を介する微小環境との接着による薬剤耐性を抑制した。骨髄腫培養上清やRANKLにより誘導される破骨細胞形成はTAK1阻害により抑制され、破骨細胞形成に重要なNF-κB経路やMAPK経路も顕著に抑制されていた。また、骨髄腫では骨髄間質細胞にTAK1のリン酸化が誘導されており、TAK1阻害は骨髄腫による骨芽細胞分化の抑制を解除し、石灰化結節の形成を惹起させた。このようなTAK1阻害の治療効果は骨髄腫動物モデルでも確認できた。さらに、骨再生を誘導させると同時にこれまで概念のなかった腫瘍排他的ニッチを骨環境内に形成させることが示唆された。また、TAK1の活性化と薬剤抵抗性の関連が考えられたため、TAK1依存性に骨髄腫細胞が分泌する蛋白の網羅的なプロテオーム解析により薬剤耐性に関連するバイオマーカーの候補を抽出した。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 6件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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