研究課題/領域番号 |
18K08330
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
朝井 洋晶 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (00726838)
|
研究分担者 |
安川 正貴 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60127917)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 細胞免疫療法 / CAR-T / NY-ESO-1 / 多発性骨髄腫 |
研究実績の概要 |
我々はまず、HLA-A2/NY-ESO-1 157ペプチド複合体を特異的に認識する抗体(Clone:3M4E5)の抗原認識部位(Fab部分)を単鎖抗体(scFv)の形で利用し、CD28とCD3ζ鎖を細胞内シグナル伝達ドメインとして用いた第2世代CAR(Chimeric antigen receptor)を作成した。健常人ドナーよりヒト末梢血単核球を分離し、IL-2+抗CD3抗体で刺激後、レトロウイルスを用いA2/NY-ESO-1 157特異的CARをドナー由来T細胞に遺伝子導入し、A2/NY-ESO-1157特異的CAR導入T細胞を作成した。遺伝子導入したA2/NY-ESO-1 CARはCD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞関係なく発現し、A2/NY-ESO-1 tetramerを用い、ペプチド特異性を確認できた。さらにNY-SEO-1157ペプチドをパルスした人工抗原提示細胞で刺激したところ、抗原特異的にIFN-γ、IL-2、TNF-αの産生をみとめた。次にA2/NY-ESO-1CAR-T細胞の骨髄腫細胞株に対する応答性を細胞内サイトカイン染色法を用いて検討したところ、CRA-T細胞はA2陽性NY-ESO-1陽性骨髄腫細胞株(U266、KMS18)に対してIFN-γ産生をみとめたが、A2陰性かつNY-ESO-1陰性細胞株(KMS34)やA2陽性・NY-ESO-1陰性細胞株(KMS26)に対する有意なサイトカイン産生を認めずHLA拘束性と抗原特異性が確認できた。また51Cr放出試験を用いた検討でもHLA-A2かつNY-ESO-1陽性骨髄腫細胞に対してEffector細胞数依存性に細胞傷害活性を認めることを確認できた。現在はHLA-A2/NY-ESO-1 157特異的CAR導入T細胞のin vivoにおける抗骨髄腫細胞効果の検討をすすめている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績に記載したとおりの結果がえられており、当初の計画通り、研究がすすめられているため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、1) HLA-A2/NY-ESO-1157特異的CAR導入T細胞のin vivoにおける抗骨髄腫細胞効果の検討;HLA-A2陽性NY-ESO-1陽性ヒト骨髄腫細胞株U266へluciferase遺伝子導入にてU266/Luc細胞株を樹立し、放射線照射したNOGマウスへ移植しヒト骨髄腫のin vivoモデルを作製する。コントロール及びHLA-A2/NY-ESO-1157特異的CAR-T細胞を尾静脈より投与し、in vivoイメージング法を用い抗腫瘍効果を経時的に観察する。腫瘍縮小効果が得られたマウスにおいて、腫瘍局所ならびに骨髄内におけるHLA-A2/NY-ESO-1157特異的CAR-T細胞の集積と表面形質とを病理学的手法やテトラマー法等で詳細に解析する。2) HLA-A2/NY-ESO-1157特異的CAR導入造血幹細胞移植モデルの樹立;HLA-A2/NY-ESO-1157 CAR/dNGFR遺伝子を組み込んだレンチウイルスベクターを作製する。ヒト臍帯血より分離回収したCD34陽性細胞へレンチウイルスによりHLA-A2/NY-ESO-1157特異的CARを遺伝子導入し、HLA-A2/NY-ESO-1157導入ヒト造血幹細胞を作製する。 上記2課題を中心に研究をすすめていく。なお、研究分担者は具体的な実験指導と研究総括などを担当することに同意している。
|