・HLA-A2/NY-ESO-1 157ペプチド複合体を特異的に認識する抗体(Clone:3M4E5)の抗原認識部位(Fab部分)を単鎖抗体(scFv)で利用し、CD28とCD3ζ鎖を用いた第2世代CAR(Chimeric antigen receptor;A2/NY-ESO-1 157特異的CAR)を作成した。 ・IL-2+抗CD3抗体刺激したヒト末梢血単核球にレトロウイルスで遺伝子導入して作成したA2/NY-ESO-1157特異的CAR導入T細胞はtetramer解析でペプチド特異性を確認できた。 ・NY-SEO-1157ペプチドをパルスした人工抗原提示細胞の刺激に対する抗原特異的なIFN-γ、IL-2、TNF-αを産生し、HLA-A2かつNY-ESO-1陽性骨髄腫細胞株(U266、KMS18)に対してIFN-γを産生したが、A2陰性かつNY-ESO-1陰性細胞株(KMS34)やA2陽性・NY-ESO-1陰性細胞株(KMS26)に対して有意なサイトカインの産生を認めないことからHLA拘束性と抗原特異性が確認できた。 ・51Cr放出試験ではHLA-A2かつNY-ESO-1陽性骨髄腫細胞株に対してEffector細胞数依存性に細胞傷害活性を認めた。 ・Luciferase遺伝子を導入したHLA-A2かつNY-ESO-1陽性骨髄腫細胞株を移植した免疫不全マウスモデルにおいて骨髄腫細胞移植後13日目、18日目にHLA-A2/NY-ESO-1_157-CAR-T細胞5×10E6個を尾静脈から輸注する治療実験において、コントロール群と比較し、HLA-A2/NY-ESO-1_157-CAR-T細胞治療群は骨髄腫細胞移植後20日目(治療後7日目)に有意な腫瘍の抑制を認めた。 以上より我々のCAR-T細胞はin vitroかつin vivoにおいて抗原特異的に充分な抗腫瘍効果を確認できた。
|