研究課題/領域番号 |
18K08333
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
福留 健司 佐賀大学, 全学教育機構, 教授 (50284625)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血管内皮 / プロテインC / マラリア / 血栓 |
研究実績の概要 |
一般的なマラリア原虫は、感染時においてスカベンジャー受容体であるCD36を利用しているが、致死的な血栓症を呈する重症マラリアは、異なる分子である血管内皮プロテインC受容体(Endothelial Cell Protein C Receptor: EPCR)を受容体として利用している。 EPCRは免疫系のCD1/MHCファミリーに相同性を有する分子であり、その細胞外ドメインはMHC分子のα1、α2ドメインに相当する部位からなる。 MHCと同様に、これらのドメインの接合部分に形成される溝構造にプロテインCのGlaドメインが結合する。 我々は、ヒトとマウスのEPCRの結合部位近傍に結合することでプロテインCの結合を阻止できるモノククローナル抗体を多数樹立した。 これにより、EPCRが有する様々な整理機能が明らかにされた。 この過程において、プロテインCの結合部位以外の部位に結合するモノクローナル抗体も多数作成することができた。 これらの抗体は、EPCRの重要な機能である血液凝固制御機能や血管内皮保護機能を損なわないので、重症マラリヤ感染症の治療薬への応用が期待できた。 そこで、これらの抗体の中でもヒトEPCRに対して格段に強い結合活性を有するラットモノクローナル抗体を選別して、その可変部領域のcDNAをクローニングして塩基配列を決定した。 この情報により、ヒトIgGとのキメラ抗体をコードする発現プラスミドを得た。 これをHEK293細胞にトランスフェクトして、無血清培養することで組み替えタンパク質を安定的に産生するシステムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗体遺伝子の解析、キメラタンパク発現プラスミドの構築、組み替え蛋白の発現システムの構築までは、予定外の速度で終了できた。 しかし、機能解析に関しては米国ウエイン州立大学で共同研究する予定になっていたので、この点に関してはコロナ禍で思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
組み替え蛋白の機能を、in vitro, in vivoで明らかにして医薬品への応用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアウトマウスを保有している米国ウエイン州立大学との共同実験が、コロナの影響で不可能であった。 状況が改善次第、渡米する。
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